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DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会無制限部門前篇 その10
しおりを挟む俺と同じ本戦への出場が決まった【獣王】の娘、その彼女に問い詰められたり、母親によろしく(戦闘の意)されたりといろいろとあった。
彼女たちの国、アニストとは貿易でもお世話になっているので無下にはできない。
決してできない難題を押し付けられたわけでも無いのだ、協力はするとも。
「対戦カード次第ではあるんだが……まあ、それこそルリのみぞ知る、だな…………本当にそうな気もするけど」
ま、まあ、ルリが仕込みたいと思わない限りは大丈夫だと思うけれど。
無事に予選を突破したとショウもマイも連絡してくれたし、問題は無いはずだ。
「いきなり『林檎』を使わされたな……ほぼ隠れていなかった気もするけど、これで俺が開発技部門の同率優勝者であることが発覚しているわけだ」
《あらゆる状況に対応できるオリジナルの術式、そして擬・武神流を保有している。そのことから多くの策を練る者が現れることは、間違いありません》
「まあ、あっちの部門と違って回復アイテム以外なら使いたい放題だし、別に対策されたならされたで、それとは違った方法で攻撃するだけなんだけどな」
闘技大会では回復アイテムが使えない。
当然蘇生薬や状態異常を治すものも……代わりに術式や武技、スキルなんかでの回復は問題無いし、装備の効果もOKである。
昔は休人と原人の違い──[メニュー]と特に[インベントリ]──が大きく物資に関する問題を生んでいたが、『プログレス』の登場によってそちらも無事解決。
原人の中にも、大量のアイテムを持ち込んだうえで無双するスタイルが誕生した。
……まあ、多くの者はあくまでも、換装やら取り出しをスキルで処理しているけど。
ごく稀に、戦闘中でも思念やら手元の感覚だけで操作をし、無制限にアイテムを取り出せる凄いヤツもいるのだが、それは本当に少ない……常人じゃできない技量だからな。
閑話休題
──と、そんなこんなで翌日にさっそく迎えた無制限部門本戦の初戦。
気合充分、転送陣……は機能しないので、徒歩で舞台へ向かった。
「……Oh」
「昨日ぶりじゃないか、『生者』さん」
「名前、お聞きしたのですか?」
「フェアに、と言いたいところだが、アンタ相手じゃそれもできないからな。やるからにはガチで、入念に準備させてもらったよ」
「…………準備、ですかぁ」
対戦カードはランダムなはずだが、俺のみに対策を絞ったみたいな感じなんだよな。
場所は確認しているので、ルリの方をちらりと…………うん、いい笑顔である。
モフモフ国家ということで、アニストには俺だけでなくショウもマイも、そしてルリも訪れている──当然、関係者ということで繋がりも個々で築き上げていた。
──俺が子持ちとして思うところがあったならば、ルリもまたママ友としての協力をしたのかもしれないな。
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