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DIY、とにかく戦い続ける

闘技大会無制限部門前篇 その03

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 無制限部門、その予選にて。
 徒党を組んで強いヤツを潰そう、という提案を受けた俺……俺もまた別部門の優勝者経験持ちだが、姿を偽っていたのでセーフ。

 その提案を受け入れ、迎えた開始時刻。
 彼らは近距離遠距離問わず、様々な形である参加者に集中砲火を浴びせて──

「……無傷、ねぇ。なんとも素晴らしい」

《職業はおそらく【操奏剣主】、そして発現した『プログレス』は──》

「そちらは私でも分かります……なるほど、彼のモノだったのかもしれませんね」

 その参加者は土煙が立つ中、まったくの無傷でその場に立っていた。
 周囲には敗れ去った休人、そして──数百もの武器の刃が突き刺さっている。

「『プログレス:サウザンドエッジ』、いつも利便性ゆえにお世話になってましたが……なるほど、敵に回るとこうも厄介ですか」

 俺もよくお世話になっているこの『プログレス』は、刃を核とした代物。
 登録したあらゆる刃を持つ武器を複製し、自在に操ることができる。

 ショウの持つ遺製具レリック、[シャロウ]と似たような能力だ。
 だがあちらとは似て非なるもの、剣という制約はこちらには無く刃があれば複製可能。

 代わりに特殊な武器、遺製具やら星具などは複製できない仕様になっている。
 それを補うことができるのが、おそらく就いている職業なのだろう。

「……第二陣が動きましたか。今のうちに、職業の説明をお願いできますか?」

《畏まりました。【操奏剣主】は剣士の派生職である【双剣士】、そして【操糸使い】と【武奏者】の複合系超級職となります。単独で無数の剣を操ることを得意とし、同時に操る剣の数で異なる能力を発現します》

「ソロ、デュオ、トリオ……みたいな感じでしょうか? なるほど、音楽要素もあるということですかね?」

《旦那様のご想像通り。【武奏者】は音楽と戦闘、双方の指揮に補正が入ります》

 現在、舞台の上では刃たちが宙を舞い、参加者たちを蹂躙していた。
 一本、二本ならば対応できている者も、その数が増えていくと対処できなくなる。

「普通なら、持ち込める剣の数に多少の制限がありそうですが……『サウザンドエッジ』であれば、最低でも千本は賄うことができますからね。ふむ、厄介な組み合わせです」

《操る数が増えればその分だけ、必要な身力も増えていきます。ですがそれを賄う手段も確保しているようです──どうやら魔剣、妖刀の類いがあるようで》

「攻撃してのドレイン、ですね。本当に、どう乗り越えますか」

 二人が本選に出場できる仕様だが、それでも油断はできない。
 まずは生き残るため、俺もやるべきことをしないとな。

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