2,563 / 2,829
DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会開発技部門終了 その01
しおりを挟む≪試合終了! まさかまさか、こんな決着になるとは思いもしませんでした!≫
俺と【魔導勇者】の決勝戦は、互いの全力以上を引き出すことに。
時空間を操り虚無を放った【魔導勇者】に対し、俺はその虚無をその場で暴走させた。
防御不可、どちらが先に……なんてこともありえない一瞬の決着。
俺は当然のように、蘇生可能判定時間が瞬時に消滅して退場判定。
そして、【魔導勇者】は──
≪──引き分け! 両者まったくの同時に、舞台から退場となりました! こんなこと、いったい誰が予想できるんだ!?≫
舞台の外で呆然としている【魔導勇者】。
なお、これもまた『SEBAS』に演算してもらい導き出した結果だ。
強引に引っ張りだした虚無は、こっそり相手側に近づけていた。
それでも結界やら最後の抵抗による相殺などにより、同じタイミングになったのだ。
ちなみに俺の方も結界を使っていたが、そちらはあっさり千切られ俺に届いた。
……虚無のデータは集めて、それに合わせた結界にしていたのだがな。
「これを、予想していたのかな?」
「いえいえ、まさかそんな。勝敗を決することができなかったとは……ですが、貴方は負けることなく私を殺した、それで良いではありませんか」
「……そうだね。これ以上の結果は、いくら星の命でも遂行できそうにないや」
そもそも、休人を討滅する方法は未だ確立していない。
……だができないわけじゃないだろうし、そちら方面で本気を出されても困る。
そうなった場合、どうなるのかね?
さすがに現実でも死亡、なんてことは無いだろうけど……アカウント削除、強制的に新規作成とかそんな感じかしら。
「引き分け、となるとこの後の展開も変わりそうだね。エキシビションマッチ……はたしか無制限だけだからいいとして、優勝賞品とかが特に」
「何か要りようのモノが?」
「全然。あくまで、君の討滅に向いているからこの部門に参加しろって指示が来ただけだからね……結果はこのざまだけど」
「いえ、他の部門であればお互いもっとできることは違っていたでしょう……あるいは、結果も。無論、私は死にますがね!」
「そんなに明るく、自分が死ぬなんて言う人見たこと……ああ、最近はよく休人たちが言うから見てるのか」
なんて会話をして待っていると、大会側が個人アナウンスで連絡を取ってきた。
賞品は優勝・準優勝用のものを折半、差があるものは自分たちで決めるように、と。
具体的には選べるアイテムカタログ、これは俺が【魔導勇者】に譲ることにした。
確認して準優勝のものでも、優勝の方とさして違いが見受けられなかったからだ。
「──いいのかい? たしかに質は違わないけど、君たちにとって有意義な物も載っていたじゃないか」
「私は生産者ですので。必要な物があれば、それこそ自分で作れますよ。それに、【魔導勇者】さんこそ触媒を気にしていらっしゃったではありませんか?」
「……そうだね。これは一つ、君への借りということにしておくよ」
「ありがとうございます」
伝手は多い方がいい、特にいろんな意味で敵が多そうな俺にとっては。
こうして開発技部門は、引き分けという前代未聞な形で幕を閉じるのだった。
0
お気に入りに追加
647
あなたにおすすめの小説

異世界へ五人の落ち人~聖女候補とされてしまいます~
かずきりり
ファンタジー
望んで異世界へと来たわけではない。
望んで召喚などしたわけでもない。
ただ、落ちただけ。
異世界から落ちて来た落ち人。
それは人知を超えた神力を体内に宿し、神からの「贈り人」とされる。
望まれていないけれど、偶々手に入る力を国は欲する。
だからこそ、より強い力を持つ者に聖女という称号を渡すわけだけれど……
中に男が混じっている!?
帰りたいと、それだけを望む者も居る。
護衛騎士という名の監視もつけられて……
でも、私はもう大切な人は作らない。
どうせ、無くしてしまうのだから。
異世界に落ちた五人。
五人が五人共、色々な思わくもあり……
だけれど、私はただ流れに流され……

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する
こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」
そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。
だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。
「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」
窮地に追い込まれたフォーレスト。
だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。
こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。
これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。
千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。
気付いたら、異世界に転生していた。
なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!?
物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です!
※この話は小説家になろう様へも掲載しています

無能と呼ばれた魔術師の成り上がり!!
春夏秋冬 暦
ファンタジー
主人公である佐藤光は普通の高校生だった。しかし、ある日突然クラスメイトとともに異世界に召喚されてしまう。その世界は職業やスキルで強さが決まっていた。クラスメイトたちは、《勇者》や《賢者》などのなか佐藤は初級職である《魔術師》だった。しかも、スキルもひとつしかなく周りから《無能》と言われた。しかし、そのたったひとつのスキルには、秘密があって…鬼になってしまったり、お姫様にお兄ちゃんと呼ばれたり、ドキドキハラハラな展開が待っている!?

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる