虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、とにかく戦い続ける

闘技大会開発技部門終了 その01

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≪試合終了! まさかまさか、こんな決着になるとは思いもしませんでした!≫

 俺と【魔導勇者】の決勝戦は、互いの全力以上を引き出すことに。
 時空間を操り虚無を放った【魔導勇者】に対し、俺はその虚無をその場で暴走させた。

 防御不可、どちらが先に……なんてこともありえない一瞬の決着。
 俺は当然のように、蘇生可能判定時間が瞬時に消滅して退場判定。

 そして、【魔導勇者】は──

≪──引き分け! 両者まったくの同時に、舞台から退場となりました! こんなこと、いったい誰が予想できるんだ!?≫

 舞台の外で呆然としている【魔導勇者】。
 なお、これもまた『SEBAS』に演算してもらい導き出した結果だ。

 強引に引っ張りだした虚無は、こっそり相手側に近づけていた。
 それでも結界やら最後の抵抗による相殺などにより、同じタイミングになったのだ。

 ちなみに俺の方も結界を使っていたが、そちらはあっさり千切られ俺に届いた。
 ……虚無のデータは集めて、それに合わせた結界にしていたのだがな。

「これを、予想していたのかな?」

「いえいえ、まさかそんな。勝敗を決することができなかったとは……ですが、貴方は負けることなく私を殺した、それで良いではありませんか」

「……そうだね。これ以上の結果は、いくら星の命でも遂行できそうにないや」

 そもそも、休人を討滅する方法は未だ確立していない。
 ……だができないわけじゃないだろうし、そちら方面で本気を出されても困る。

 そうなった場合、どうなるのかね?
 さすがに現実でも死亡、なんてことは無いだろうけど……アカウント削除、強制的に新規作成とかそんな感じかしら。

「引き分け、となるとこの後の展開も変わりそうだね。エキシビションマッチ……はたしか無制限だけだからいいとして、優勝賞品とかが特に」

「何か要りようのモノが?」

「全然。あくまで、君の討滅に向いているからこの部門に参加しろって指示が来ただけだからね……結果はこのざまだけど」

「いえ、他の部門であればお互いもっとできることは違っていたでしょう……あるいは、結果も。無論、私は死にますがね!」

「そんなに明るく、自分が死ぬなんて言う人見たこと……ああ、最近はよく休人たちが言うから見てるのか」

 なんて会話をして待っていると、大会側が個人アナウンスで連絡を取ってきた。
 賞品は優勝・準優勝用のものを折半、差があるものは自分たちで決めるように、と。

 具体的には選べるアイテムカタログ、これは俺が【魔導勇者】に譲ることにした。
 確認して準優勝のものでも、優勝の方とさして違いが見受けられなかったからだ。

「──いいのかい? たしかに質は違わないけど、君たちにとって有意義な物も載っていたじゃないか」

「私は生産者ですので。必要な物があれば、それこそ自分で作れますよ。それに、【魔導勇者】さんこそ触媒を気にしていらっしゃったではありませんか?」

「……そうだね。これは一つ、君への借りということにしておくよ」

「ありがとうございます」

 伝手は多い方がいい、特にいろんな意味で敵が多そうな俺にとっては。
 こうして開発技部門は、引き分けという前代未聞な形で幕を閉じるのだった。

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