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DIY、とにかく戦い続ける

闘技大会開発技部門 その39

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 勝ち目はない、そう『SEBAS』に告げられてしまった。
 だがそれは敗北、とは同義ではない──引き分け、俺たちが目指すのはそこだ。

「──ッ、させるか!」

「いえ、何としても使ってみせましょう」

 先んじて、俺たちの作戦を視たのだろう。
 形相を変えた【魔導勇者】が、鬼気迫る表情でこちらに攻撃を仕掛けてくる。

 だが、俺の肉体そのものは“孤独蟲毒”で無制限に強化されるうえ、術式の構築は俺ではなく『SEBAS』が担当している。

 魔力による浸透勁なものでダメージ自体とその反動自体は受けていたのだが、それでも『SEBAS』の術式構築を阻害できるまでの出力は出ていなかった。

「“検索召喚”──『崩壊時空』へアクセスします」

「ぐぅ……くそっ!」

 これこそが本来の使い方。
 把握した座標に穴を開け、そこから必要なナニカを取り出すことができる。

 擬似的な召喚術。
 それによって引っ張り出されるのは、他ならぬ【魔導勇者】が時間と空間を操る際に用いているエネルギーの根源。

 その登場により、これまでは精確無比に行われていた【魔導勇者】の攻撃に、精密さが欠け始める。

「きちんと制御できていなければ、正しく運用などできるはずがありませんものね。一か八かの賭けですが、上手くいって良かったですよ本当に」

《【魔導勇者】の“時喰”及び“除空”は、『崩壊時空』の乱れた時空間の法則を用いなければその真価を発揮できません。同様に、その複合版である“時空環”も一時的に使用できない状態にあるでしょう》

 おそらく今は、『ヴィジョンアイ』なども使えなくなっているのかもしれない。
 この場に開いた穴から生まれるエネルギーは、今なおここに渦巻いている。

 ──手が触れただけで空間が捻じれ、遡り直ったかと思ったらその倍の速度で千切れ飛ぶ、という不可思議な現象を目の前で体験したからな。

「【魔導勇者】さん、万策尽きましたか?」

「……ああ、認めるよ。魔導を使い、そのうえでこれを破られた。だが、それでも君に勝つことはできる!」

「ええ、逆に私が勝つことは難しい……ですが、それでも敗北は認められません!」

 時空間の捻じれに体が触れると、最悪一瞬で退場扱いになりかねん。
 手は時空の彼方に消えてしまい、くっつけることはできなかった……再生したけど。

《“死始再生”、おそらくこれ以上は再生できません。私は“検索召喚”による妨害を維持し続けます。どうか、ご武運を》

「それでは、始めましょう。お互いこれが最後です──『我が身を厭わず、挑戦者いざ行かん』!」

「──来い、『生者』!」

 触れたらアウトな機雷が周囲を飛び交う中で、俺たちの肉弾戦が行われる。
 ……生産職と魔導士、どっちも近接戦は得意じゃないのにな。

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