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DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会開発技部門 その30
しおりを挟む不規則な転移による乱撃は、圧倒的魔力による暴力の前に屈した。
だからこそ、俺は伏していた布石を解放することに。
「──“術、式、鑑破”」
「……舐められたものだ」
三つの術式を永続的に保存できる、チートアイテム『愚者の石』。
これまでの試合で使ってきた術式と、唯一異なる三つ目の術式を起動した。
それは『騎士王』が、俺用に作ってくれた術式の一つ“術式鑑破”。
本来設けられている処理量の制限が外された、使い手を選ぶピーキーな解析術式。
だが、俺……というか休人であれば理論上誰でも使うことができる。
──死んでも問題ない、という大前提を受け入れればだけれど。
脳に流し込まれる膨大な量の情報。
それを正しく理解しようとすれば、間違いなく脳が破裂する……ゆえにこの術式では、俺を介さず情報をただ流し込むだけ。
行きつく先は当然『SEBAS』。
今大会では常に起動している『プログレス:セバスチャン』を経由して、情報を即座に解析してくれている。
《──“火炎”、そして“水氷”。旦那様、これらは既存の術式とはまったく異なる形式の、【魔導勇者】のみが行使できる特別な術式のようです》
「……具体、的には?」
《魔術の神秘性、魔法の法則性、そして儀式や媒介を用いたすべての要素を、星杖により束ねております》
「…………チート、ですね、まったく」
星杖、魔導世界の象徴ともいえる至高にして究極の武器。
同じく冒険世界に存在する星剣は、相手を上回るという『最強』の力を秘めていた。
では星杖には何があるのか、答えは至ってシンプル──万能性である。
ありとあらゆる術式の行使、それは星杖を用いることで真価を発揮するのだ。
《ですが、術式を一つひとつ紐解いていけば問題ありません。数、種類、質を組み合わせて構築されているようですが──完璧など、存在しませんので》
「──解、除」
「っ……!」
複雑怪奇ゆえに、誰もそれを突破できずに敗北してきた。
だが俺には『SEBAS』が居て、生き残るのに充分な時間が存在する。
氷の中に閉じ込められていた俺、だが次の瞬間にはその氷が砕け散った。
自身の制御から外れたその術式に、目を開き驚いている【魔導勇者】。
「……なぜ」
「なぜ、と問いますか。答えは簡単です──『生者』だから、とでも言いましょうか」
「答える気が無いことは分かった……自惚れも油断も止めよう、全力で行く」
「初めからそうしてくださいよ……私はその上を行きますがね」
「…………」
煽ったが、術式の構築に集中しているからか無視……うん、寂しい。
同じ過ちは繰り返さないよう、俺もまた警戒しつつ移動を開始していった。
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