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DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会開発技部門 その29
しおりを挟む敵は【魔導勇者】、俺を星敵として討滅することを目的としてこの場に居る。
星杖から放たれるその力の圧は、見た目の幼さで軽視することを許さない。
≪──それでは決勝戦、試合開始!≫
俺はすぐに行動開始。
先んじて『SEBAS』が術式を準備してくれていて、それを試合直後で起動する。
「──“乱雑転移”」
「……はっ?」
視て一瞬で理解したのだろう、この転移は穴だらけだ。
舞台上、様々な場所に瞬時に移動しているが……俺も何もできない。
滞在時間・座標、共に不明。
代わりに、超低コストかつある悪用もできるのが“乱雑転移”の特徴だ。
「──『舞い踊れ、彷徨う中で』」
「…………」
そこに重ねるように、擬・武神流による攻撃を行っていく。
内容は当然転移に対応したもの、転移したその一瞬に反動を度外視して攻撃する。
どれだけ体幹を崩した動きでも、転移で距離が切り替わればどうとでもなるからな。
さながら捨て身の如く、何度もフェイントやら死角からの一撃を加えていく。
「──通じませんね」
「当然だろう?」
「柔剛兼ね揃えた、特殊な結界ですか……反動で死なないのはとても喜ばしいですね」
「……この場で戦えて良かったな」
部門として、オリジナルの術式しか使えないからこそなのだろう。
普段なら自由に選べる結界も、今回は万能として作り上げられたモノに限られる。
俺の攻撃はすべてが、まるでゴムを押したかのように跳ね返されてしまう。
だがそれでも、堅いものを叩いた際の反動ダメージが発生しないため死なないでいる。
「ふむ……ではこちらから、そろそろ行かせてもらうぞ」
「ッ!」
「──“火炎”」
星杖を一突き、そんなワンアクションだけで成立した術式。
本来であれば、そこまで火力も出ないものなのだろうが──【魔導勇者】は違う。
星杖が強化したであろうその術式は、本来の性能を遥かに超えた事象を示す。
──逃げ惑う先を選べない俺は、やがてその術式に食われる。
「っ……かっ!」
転移する俺に対処するためか、対象範囲は自身を含めた舞台全体。
その範囲は縦横だけに留まらず、奥行きまでも──結果、天を焦がす火柱が生まれる。
「これほどですか、【魔導勇者】とは!」
「ほんの挨拶程度だ、そう易々と死なないでもらいたい──“水氷”」
「ッ……!!」
瞬間、登っていた熱気の柱が冷気の柱へと変貌した。
理屈は分からない、そしてそれを理解している暇もない。
炎に呑まれていた俺は、それを感知できないまま氷漬けにされてしまう。
──それでも、『愚者の石』に仕込んだ術式は確実に起動できている。
「──“術、式、鑑破”」
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