上 下
2,543 / 2,752
DIY、とにかく戦い続ける

闘技大会開発技部門 その21

しおりを挟む


 ──“柳流・竹箆”。

 受け流しの構えを取ると同時に、反撃をすることができる稀有な武技。
 ジーヂーには『アーツクリエイター』があるため、そんな武技も意図した発現が可能。

 対するこちらは雪像と共に、擬・武神流による連携攻撃を継続中。
 雪像たちは尽く破壊されているが、俺は一歩距離を取ることで回避している。

 雪像と俺とを見分けることなど、武人っぽさ全開なジーヂーなら容易いこと。
 それでも追撃せず雪像の破壊にのみ注力しているのには、何か裏があるのだろう。

「……ふむ、これぐらいでいいじゃろう」

「くっ、蓄積系の何かを持っていましたか」

「無限りぽっぷ? とやらがあってのう、どうにかしてくれと門下生に言われたんじゃ。まあ、修行が足らんとは思ったが、お主への対策にもなるし考えてみた結果──“業積”が出来上がったんじゃよ」

 ギョウセキ、響きだけ聞くと何というか現実を思い出して遠い目になってしまう。
 まあ、話から察するにおそらくは倒した数に応じた何かしらの強化に違いない。

 雪像たちの進撃を止めさせ、再び雪に還したところでソレは発生。
 ジーヂーの体内から溢れ出す、膨大な量のエネルギー……“業積”のエフェクトか?

「それが“業積”ですか?」

「うむ。隠すこともできたが、見せた方が見栄えは良かろう? 儂の門下生になれば、誰でも使えるようになるぞ」

「宣伝をしないでくださいよ、ここで」

 伝授も『プログレス』の仕様に組み込まれているので、嘘は言っていないよな。
 ただし、伝授も経費が掛かる以上、入ったらすぐプレゼントとはならないだろう。

「さて、そろそろ始めるとするかのう。準備運動はそっちも充分じゃろう?」

「……いえいえ、まだまだやっていてもいいぐらいです」

「残念じゃが、年寄りは気が短くなってしまうものでのぅ。もう我慢できん、さっさと始めさせてもらうぞ」

「ッ!?」

 相当な身体強化でも行われたのか、視界に捉えていたはずのジーヂーの姿が消え、そのまま俺に一撃──といったところで結界が自動運転、腕を上げて振るわれた拳を防ぐ。

「これは……ずいぶんなやり方で」

「まあ、この程度は防いでもらわんと。言っておくが、まだ何も強くしておらんぞ」

「…………ははっ、冗談が上手いですね」

 無論、冗談では無いことを澄み切った眼を見ている俺が一番分かっている。
 対応が遅れた、それだけでその異常性が理解できるからこその空元気だ。

 ジーヂーが俊敏に動き、俺の隙を狙うような攻撃を畳みかけてくる。
 すぐに『SEBAS』が対処するが、やはり少し遅れている……かなりヤバいな。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~

山田 武
ファンタジー
テンプレのように異世界にクラスごと召喚された主人公──イム。 与えられた力は面倒臭がりな彼に合った能力──睡眠に関するもの……そして催眠魔法。 そんな力を使いこなし、のらりくらりと異世界を生きていく。 「──誰か、養ってくれない?」 この物語は催眠の力をR18指定……ではなく自身の自堕落ライフのために使う、一人の少年の引き籠もり譚。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

運極さんが通る

スウ
ファンタジー
『VRMMO』の技術が詰まったゲームの1次作、『Potential of the story』が発売されて約1年と2ヶ月がたった。 そして、今日、新作『Live Online』が発売された。 主人公は『Live Online』の世界で掲示板を騒がせながら、運に極振りをして、仲間と共に未知なる領域を探索していく。……そして彼女は後に、「災運」と呼ばれる。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧
ファンタジー
『To The World Road』 倍率300倍の新作フルダイブ系VRMMOの初回抽選に当たり、意気揚々と休暇を取りβテストの情報を駆使して快適に過ごそうと思っていた。 ……のだが、蓋をひらけば選択した職業は調整入りまくりで超難易度不遇職として立派に転生していた。 しかしそこでキャラ作り直すのは負けた気がするし、不遇だからこそ使うのがゲーマーと言うもの。 意地とプライドと一つまみの反骨精神で私はこのゲームを楽しんでいく。 小説家になろう、カクヨムにも掲載

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

処理中です...