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DIY、忙しく動く
滝壺
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プレイヤーは優秀だ。
釣りに行ったときからあまり経っていないというのに、すでにどんどん先へ進行しているのだから。
川の先には滝壺があり、今は滝飛沫を浴びないように西へ進んでいる。
……いや、もしかしたら死ぬかもしれないからな。
「マイナスイオン的な気分だけでも、せめて味わいたかったなー」
《マイナスイオンの観測はすでに完了しておりますが……》
「お? なら今度、『アイプスル』にも人工の滝を造ってみようか。自然そのものじゃない、あくまで人工ってのがポイント高い気がするよ」
《承知しました》
マイナスイオンはどこかの国によって、確実性を以って健康に良い影響を与えられるようになっている。
ブラックボックスだか企業秘密で下々の者には伝わっていなかったのだが……うん、うちの『SEBAS』には関係なかった。
そのうち、エリア51のことも──
《情報を開示しま──》
「せん! 絶対に……いや、本当に知らないとヤバくなったときにしてくれ!」
じょ、冗談が通じるような相手じゃない!
駄目だ、このままだと知りすぎて殺されるなんて創作物みたいな展開に……。
気分を切り替えて、冒険の続きだ。
創作物で思いだしたが、やっぱり滝壺と言えば裏側に何かあるのが王道だろう。
幸い、人一人が通れるかどうか、というほどの細い道があったので、そこを歩いて進んでみる。
「……壁、だな。特に仕掛けがあるようにも見えないし、プレイヤーが自棄を起こして攻撃した跡も残ってる」
どうやら、考えることは同じらしい。
焦げたような跡や凹んだ壁などが所々に点在していた。
「と、なると調べるのはもう一つ──滝壺の下から繋がる道か何かだ」
プレイヤーでは、なかなかに探しづらい場所なんだろう。
入っても、溺れれば死に戻りをしてしまうのだから。
スキルや魔法で潜れるようになれば話は別だが、無い者の方が多いからな。
「死亡レーダーはっと……あっ、意外と探せばあるもんだな」
予想は的中し、滝壺の中に道を見つけた。
分かった理由は当然、その先にいる魔物が俺を殺せる強さを持っているから。
水に入れたプレイヤーも、おそらくその魔物に殺されたのだろう。
「一度試してみるか」
結界に身を包み、結界ごと水中に潜る。
酸素も持ってこれるので、長時間の潜水が可能となるのだ。
少し暗い水中で、二つの赤い光だけが揺れ動いている。
それは俺が水に入ったと気付くと、即座にこちらに迫って来た。
ガチンッという音と共に、俺の視界は魔物の口内に移り変わる。
……嗚呼、やっぱり餌扱いか。
「それっ、電流ビリビリっと」
電圧を上げて結界に電流を流す。
内側から電撃を浴びせられたその魔物は、ガクガクと震えた後に水上へと浮かんだ。
魔物の正体を見るため、電撃を解除してから浮上した。
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