171 / 2,819
DIY、忙しく動く
滝壺
しおりを挟むW4
プレイヤーは優秀だ。
釣りに行ったときからあまり経っていないというのに、すでにどんどん先へ進行しているのだから。
川の先には滝壺があり、今は滝飛沫を浴びないように西へ進んでいる。
……いや、もしかしたら死ぬかもしれないからな。
「マイナスイオン的な気分だけでも、せめて味わいたかったなー」
《マイナスイオンの観測はすでに完了しておりますが……》
「お? なら今度、『アイプスル』にも人工の滝を造ってみようか。自然そのものじゃない、あくまで人工ってのがポイント高い気がするよ」
《承知しました》
マイナスイオンはどこかの国によって、確実性を以って健康に良い影響を与えられるようになっている。
ブラックボックスだか企業秘密で下々の者には伝わっていなかったのだが……うん、うちの『SEBAS』には関係なかった。
そのうち、エリア51のことも──
《情報を開示しま──》
「せん! 絶対に……いや、本当に知らないとヤバくなったときにしてくれ!」
じょ、冗談が通じるような相手じゃない!
駄目だ、このままだと知りすぎて殺されるなんて創作物みたいな展開に……。
気分を切り替えて、冒険の続きだ。
創作物で思いだしたが、やっぱり滝壺と言えば裏側に何かあるのが王道だろう。
幸い、人一人が通れるかどうか、というほどの細い道があったので、そこを歩いて進んでみる。
「……壁、だな。特に仕掛けがあるようにも見えないし、プレイヤーが自棄を起こして攻撃した跡も残ってる」
どうやら、考えることは同じらしい。
焦げたような跡や凹んだ壁などが所々に点在していた。
「と、なると調べるのはもう一つ──滝壺の下から繋がる道か何かだ」
プレイヤーでは、なかなかに探しづらい場所なんだろう。
入っても、溺れれば死に戻りをしてしまうのだから。
スキルや魔法で潜れるようになれば話は別だが、無い者の方が多いからな。
「死亡レーダーはっと……あっ、意外と探せばあるもんだな」
予想は的中し、滝壺の中に道を見つけた。
分かった理由は当然、その先にいる魔物が俺を殺せる強さを持っているから。
水に入れたプレイヤーも、おそらくその魔物に殺されたのだろう。
「一度試してみるか」
結界に身を包み、結界ごと水中に潜る。
酸素も持ってこれるので、長時間の潜水が可能となるのだ。
少し暗い水中で、二つの赤い光だけが揺れ動いている。
それは俺が水に入ったと気付くと、即座にこちらに迫って来た。
ガチンッという音と共に、俺の視界は魔物の口内に移り変わる。
……嗚呼、やっぱり餌扱いか。
「それっ、電流ビリビリっと」
電圧を上げて結界に電流を流す。
内側から電撃を浴びせられたその魔物は、ガクガクと震えた後に水上へと浮かんだ。
魔物の正体を見るため、電撃を解除してから浮上した。
11
お気に入りに追加
646
あなたにおすすめの小説

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する
こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」
そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。
だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。
「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」
窮地に追い込まれたフォーレスト。
だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。
こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。
これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。

Free Emblem On-line
ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。
VRMMO『Free Emblem Online』
通称『F.E.O』
自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。
ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。
そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。
なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

異世界召喚に巻き込まれた一般人、馬鹿にされたので勇者より先に悪者を倒します
カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、トラックの衝突事故に巻き込まれそうになる。すると偶然にも傍に居た四人の高校生の足元に「魔法陣」が誕生し、彼等と一緒に謎の光に飲み込まれてしまう。
気付いたときには五人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。話を聞くと現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。
だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「四人」のはずであり、召喚された状況から考えてレアは召喚に巻き込まれただけの一般人だと判断されて城から追放されてしまう――
――しかし、追放された後にレアは勇者にも匹敵する能力があると発覚し、彼は異世界を自由気ままに暮らすことに決めた。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。

パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強
こはるんるん
ファンタジー
「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」
騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。
この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。
ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。
これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。
だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。
僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。
「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」
「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」
そうして追放された僕であったが――
自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。
その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。
一方で、僕のバフを失ったバラン団長の最強騎士団には暗雲がたれこめていた。
「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」
これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる