虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
上 下
2,530 / 2,831
DIY、とにかく戦い続ける

闘技大会開発技部門 その08

しおりを挟む


 さす兄風の休人を倒し、一回戦を突破。
 死んで強くなる“孤独蟲毒”、時間制限内での無限強化によって擬似レベルアップ、そのまま物理で殴って無事勝利である。

「それで……どうだった?」

《制限時間の方、確認が取れました。問題なく[称号]、職業による延命の持続ができているようです。ただし、『超越生者』による常時無敵化、また死に戻り時の座標書き換えなどはできませんでした》

「まあ、しょうがないか。そっちがあるといろいろズルができるもんな」

 特について無敵化は、俺への対策というか俺以外への対策に引っ掛かったのだろう。
 無敵化は形は違えど、多くの在り方で存在しているからな。

 だからか無敵化は一度切りかつ一瞬のみ、かなり使いどころが絞られることに。
 ……トドメの一撃を無効化して勝利とか、そういうのを避けたいのだろう。

「使えるのは分かったな。今回は純粋な火力勝負でごり押しできたから良かったが……これ、対策されるよな」

《魔術や媒介式による術式には、条件付けで相手を超越するようなものもございます。相手より少しだけ強くなる、そういった効果ですと“孤独蟲毒”も意味を成さないかと》

「後出し強化はズルいだろ……まあでも、1だけ上になるぐらいなら問題ないのか」

 数値が優劣を決めるシステムだが、結局使うのは人なわけで。
 求められるのは技量、多少の差なら本人の腕次第でいくらでも覆せる。

 ……まあ、俺の腕なんて初心者に毛が生えた程度なので期待できないわけだけど。
 代わりに『SEBAS』が居るからこそ、人並みぐらいには戦えているわけだ。

「次の試合はどうするか……“孤独蟲毒”は確定で変更にするけど、“生存結界”は必須だし。逆に“千変宝珠”なんかは、有っても無くてもって感じだよな」

 自己強化に対する策を講じられることを想定して、そちらは使わないでおく。
 条件付けの術式は、それを準備しておくだけで負担になるのだ。

 魔力的な消耗はむしろ起動しない分いいのだが、設置にせよ待機にせよ消耗する。
 それだけで、相手の手札を一枚減らせるうえでこちらは手札を一枚増やせるのだ。

《旦那様、『林檎』はいかがでしょう?》

「…………アレ、使うのか? 最悪死人が出ちゃうんだが? いやまあ、ルール的に試合終了後に蘇生はされるけど」

 休人、原人入り混じっての試合なのだが、闘技場での試合後はいろいろリセットされる仕組みなのだ。

 リキャストタイムが長いスキルなんかも、試合中なら問題無し。
 ……召喚獣がその仕様で対価を貰えなかったから揉めた、とタクマが前に言っていた。

「そうだなぁ、相手が休人だった場合にのみそれを使うって感じでどうだ? こっちはそれを『SEBAS』に使ってもらって、代わりに『02』を使うって感じで。見た目的にも演出できるかなって思うんだが……」

《! ……さすがは旦那様です。畏まりました、術式をすぐに書き換えます》

 そんなこんなで、次の試合で使う術式も準備できた。
 ……可能なら、次の相手は休人じゃない方が救われるな。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

てめぇの所為だよ

章槻雅希
ファンタジー
王太子ウルリコは政略によって結ばれた婚約が気に食わなかった。それを隠そうともせずに臨んだ婚約者エウフェミアとの茶会で彼は自分ばかりが貧乏くじを引いたと彼女を責める。しかし、見事に返り討ちに遭うのだった。 『小説家になろう』様・『アルファポリス』様の重複投稿、自サイトにも掲載。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷

くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。 怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。 最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。 その要因は手に持つ箱。 ゲーム、Anotherfantasia 体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。 「このゲームがなんぼのもんよ!!!」 怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。 「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」 ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。 それは、翠の想像を上回った。 「これが………ゲーム………?」 現実離れした世界観。 でも、確かに感じるのは現実だった。 初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。 楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。 【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】 翠は、柔らかく笑うのだった。

私はいけにえ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」  ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。  私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。 ****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。

【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?

つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです! 文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか! 結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。 目を覚ましたら幼い自分の姿が……。 何故か十二歳に巻き戻っていたのです。 最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。 そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか? 他サイトにも公開中。

処理中です...