虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、とにかく戦い続ける

闘技大会部門決定 中篇

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 復刻&パワーアップしたオリジナル部門に加え、特殊耐久サバイバル部門(そして無制限部門)が今回の闘技大会の内容となった。

 問題は今回から、ピンポイントで俺の無限蘇生に制限が掛かったようだ。
 ……まあ、即時復帰と無敵と復帰可能時間延長はさすがにチート臭いからな。

「まあいいや、とりあえず登録だけしておきますか」

 ホテルのVIP待遇は、投票だけでなく登録にも使えた。
 タブレット端末を操作するだけで、混雑する受付に行かずとも登録完了と表示される。

 名前の方も適当にツクルとは異なる名前を選び、報酬減少と引き換えに偽名での参加が受理された。

「スキルが獲得できる結晶とか、蘇生アイテムとか不要だしな……うん、やっぱりバレバレでも偽名を貫いていこう」

 偽名での登録最大の利点は、今後に影響を残さないことである。
 実名(休人の正式名)で登録すると、運営から連絡が届くことがあるらしい。

 シード枠的なメリットもあるらしいが、大抵は時間を使うデメリットなんだとか。
 ……ショウから聞いたから間違いない、経験を積めるから良いことではあるらしい。

 何より、実名を登録すると公式サイトで関連する情報が開示されてしまう。
 他の部門での戦闘記録やら、イベント参加時の活躍を映した光景などなど。

 動画への出演そのものは、EHOの利用規約に同意した時点で了承扱いである。
 文句を言いたいならば、まずしっかりと規約の文面に目を通した方がいいだろう。

「何より、実名だとシステム的なモザイクが使えなくなるからな。うんうん、今回も詳細不明になっていて何よりだ」

 タブレット端末に映し出された、参加者としての俺の情報。
 最低限、名前が載っているだけでそれ以外はすべて『UNKNOWN』表示。

 過去の経歴も一切確認できない。
 また、検索機能でこれまでに使った名前を調べて表示させても、それぞれの試合記録はあっても関連動画としては出てこなかった。

 加えて、そちらに映る俺の顔にはかなりのボカシが入っている。
 どんなスキルを持っていても、高度なシステム的保護なので暴くことはできない。

「少なくとも、ここから繋げて出すのは難しいだろうな。俺だけじゃなくて、偽名の選手は全員この仕様になるし。いちおう、逸脱者は全員これなんだよな」

《そうですね。『騎士王』や『真海の主』、またこれまでの参加者を確認しましたが、一人として個人名を記す者は居ませんでした》

「全員、職業名か権能名、あとは普通に偽名なんだよな……」

 得られる報酬というメリット、だが露見に繋がるというデメリットを天秤に掛け、デメリットの重さを重視した連中は、偽名での参加となっている。

 決して、表舞台に出たくはないという強い意志があるならばそれでいいのだろう。
 ……かつての『真海の主』のように、上からの指示で強制参加という例もあるし。

 今回のルールははっきり言って、どの部門でも確実に逸脱者連中が無双できる。
 死なないがゆえに強くなれる休人たち、俺たちはどこまで彼らに対抗できるのか。

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