2,521 / 2,831
DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会部門決定 中篇
しおりを挟む復刻&パワーアップしたオリジナル部門に加え、特殊耐久サバイバル部門(そして無制限部門)が今回の闘技大会の内容となった。
問題は今回から、ピンポイントで俺の無限蘇生に制限が掛かったようだ。
……まあ、即時復帰と無敵と復帰可能時間延長はさすがにチート臭いからな。
「まあいいや、とりあえず登録だけしておきますか」
ホテルのVIP待遇は、投票だけでなく登録にも使えた。
タブレット端末を操作するだけで、混雑する受付に行かずとも登録完了と表示される。
名前の方も適当にツクルとは異なる名前を選び、報酬減少と引き換えに偽名での参加が受理された。
「スキルが獲得できる結晶とか、蘇生アイテムとか不要だしな……うん、やっぱりバレバレでも偽名を貫いていこう」
偽名での登録最大の利点は、今後に影響を残さないことである。
実名(休人の正式名)で登録すると、運営から連絡が届くことがあるらしい。
シード枠的なメリットもあるらしいが、大抵は時間を使うデメリットなんだとか。
……ショウから聞いたから間違いない、経験を積めるから良いことではあるらしい。
何より、実名を登録すると公式サイトで関連する情報が開示されてしまう。
他の部門での戦闘記録やら、イベント参加時の活躍を映した光景などなど。
動画への出演そのものは、EHOの利用規約に同意した時点で了承扱いである。
文句を言いたいならば、まずしっかりと規約の文面に目を通した方がいいだろう。
「何より、実名だとシステム的なモザイクが使えなくなるからな。うんうん、今回も詳細不明になっていて何よりだ」
タブレット端末に映し出された、参加者としての俺の情報。
最低限、名前が載っているだけでそれ以外はすべて『UNKNOWN』表示。
過去の経歴も一切確認できない。
また、検索機能でこれまでに使った名前を調べて表示させても、それぞれの試合記録はあっても関連動画としては出てこなかった。
加えて、そちらに映る俺の顔にはかなりのボカシが入っている。
どんなスキルを持っていても、高度なシステム的保護なので暴くことはできない。
「少なくとも、ここから繋げて出すのは難しいだろうな。俺だけじゃなくて、偽名の選手は全員この仕様になるし。いちおう、逸脱者は全員これなんだよな」
《そうですね。『騎士王』や『真海の主』、またこれまでの参加者を確認しましたが、一人として個人名を記す者は居ませんでした》
「全員、職業名か権能名、あとは普通に偽名なんだよな……」
得られる報酬というメリット、だが露見に繋がるというデメリットを天秤に掛け、デメリットの重さを重視した連中は、偽名での参加となっている。
決して、表舞台に出たくはないという強い意志があるならばそれでいいのだろう。
……かつての『真海の主』のように、上からの指示で強制参加という例もあるし。
今回のルールははっきり言って、どの部門でも確実に逸脱者連中が無双できる。
死なないがゆえに強くなれる休人たち、俺たちはどこまで彼らに対抗できるのか。
0
お気に入りに追加
648
あなたにおすすめの小説

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

てめぇの所為だよ
章槻雅希
ファンタジー
王太子ウルリコは政略によって結ばれた婚約が気に食わなかった。それを隠そうともせずに臨んだ婚約者エウフェミアとの茶会で彼は自分ばかりが貧乏くじを引いたと彼女を責める。しかし、見事に返り討ちに遭うのだった。
『小説家になろう』様・『アルファポリス』様の重複投稿、自サイトにも掲載。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。

私はいけにえ
七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」
ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。
私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。
****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる