虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
上 下
2,519 / 2,802
DIY、とにかく戦い続ける

闘技大会部門決め 後篇

しおりを挟む


 万能執事『SEBAS』にもできないことが一つ、それは運営が手掛けたアイテムを解析して複製すること。

 理、というかそれ自体が絶対不変レベルで干渉不可能な域に達しているようで。
 マザーAIを超えるまで、『SEBAS』の飽くなき挑戦は続いていくのだろう。

「さて、投票をするとしますか……VIPはこうして、タブレット端末で投票できるのがいいよな」

 現実にもよくあるノートサイズのタブレット端末。
 それを少し弄れば、受付で休人たちが眺めているであろう画面が表示される。

 記されているのは、かつて闘技大会として繰り広げられた戦いの記録。
 様々な縛り、ルールによって行われたかが上位入賞者と共に。

「……俺の名前はきちんと、当時の偽名で出してくれているな」

 かつて、俺はツクルとしてではなく異なる名前──『アンノウン』、『ゴンベエ』として闘技大会に出ている。

 オンゲーでの名前は基本的に固定している身なので、分からないよう細工をしていた。
 戦闘スタイルでバレることは無い……俺はいつも、ランダムの結果でバラバラだしな。

「それにしても、うちの家族の名前が多いは多い……みんな複数回じゃないか」

《幅広いジャンルで縛りを設けているからこそ、ですね。戦闘スタイルは千差万別なので少数の分野もございますが、母数が多いからこそ参加者は必ず一定数を超えるようです》

「分野によっては、闘技大会での活躍を見て増えたりするんだろうな。それともう一つ、アイデア投票枠だな……」

 過去のルールを復刻させるアンケートにく加え、空白に入力する形で存在するアイデアの募集枠。

 特に何も記述は無く、ただ『新しい制限のアイデア』とだけ。
 詳細は書かないことで、こちらの記述に至高の制限を設けないのかもしれない。

「とりあえずは復刻の方だな……このルリが優勝した回復反転って、アイテムでの回復もありなのか?」

《問題は無いでしょうが、投擲よりも回復魔法の移動速度の方が早いでしょう》

「いやまあ、そうなんだけどな……回復の反転がこういうルール下じゃなくても可能ならどうなるか、気になったんだよ」

《なるほど。過去の記録によると、どうやら回復の内容で効果も変化するようですね。通常の回復ならばダメージ、状態異常の回復ならば対応する状態異常の発生、魔力の回復であれば相手の魔力減少などですね》

「……頑張ればこれでもできると思うけど。ルリの独壇場になるし無しだな。さて、投票していきますか」

 その後、いくつか案を出してはそれについて『SEBAS』と語り合い……それぞれの投票を済ませるのだった。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

運極さんが通る

スウ
ファンタジー
『VRMMO』の技術が詰まったゲームの1次作、『Potential of the story』が発売されて約1年と2ヶ月がたった。 そして、今日、新作『Live Online』が発売された。 主人公は『Live Online』の世界で掲示板を騒がせながら、運に極振りをして、仲間と共に未知なる領域を探索していく。……そして彼女は後に、「災運」と呼ばれる。

欲しいものはガチャで引け!~異世界召喚されましたが自由に生きます~

シリウス
ファンタジー
身体能力、頭脳はかなりのものであり、顔も中の上くらい。負け組とは言えなそうな生徒、藤田陸斗には一つのマイナス点があった。それは運であった。その不運さ故に彼は苦しい生活を強いられていた。そんなある日、彼はクラスごと異世界転移された。しかし、彼はステ振りで幸運に全てを振ったためその他のステータスはクラスで最弱となってしまった。 しかし、そのステ振りこそが彼が持っていたスキルを最大限生かすことになったのだった。(軽い復讐要素、内政チートあります。そういうのが嫌いなお方にはお勧めしません)初作品なので更新はかなり不定期になってしまうかもしれませんがよろしくお願いします。

パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強

こはるんるん
ファンタジー
「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」  騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。  この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。  ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。  これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。  だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。  僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。 「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」 「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」  そうして追放された僕であったが――  自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。  その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。    一方で、僕のバフを失ったバラン団長の最強騎士団には暗雲がたれこめていた。 「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」  これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。

新人神様のまったり天界生活

源 玄輝
ファンタジー
死後、異世界の神に召喚された主人公、長田 壮一郎。 「異世界で勇者をやってほしい」 「お断りします」 「じゃあ代わりに神様やって。これ決定事項」 「・・・え?」 神に頼まれ異世界の勇者として生まれ変わるはずが、どういうわけか異世界の神になることに!? 新人神様ソウとして右も左もわからない神様生活が今始まる! ソウより前に異世界転生した人達のおかげで大きな戦争が無い比較的平和な下界にはなったものの信仰が薄れてしまい、実はピンチな状態。 果たしてソウは新人神様として消滅せずに済むのでしょうか。 一方で異世界の人なので人らしい生活を望み、天使達の住む空間で住民達と交流しながら料理をしたり風呂に入ったり、時にはイチャイチャしたりそんなまったりとした天界生活を満喫します。 まったりゆるい、異世界天界スローライフ神様生活開始です!

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」  リーリエは喜んだ。 「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」  もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

処理中です...