虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、コネ就職を求める

交霊実験 前篇

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 一号君で【高位死霊士】の性能を確かめた俺は、次の職業に作業を移すことに。
 職業【霊媒士】、霊と交信できることの意味を認識するためだ。

「……何も変わらないな」

《効果は正常に出ているはずですが、実感はございませんか?》

「さっぱりだな。うん、殺されている実感だけは目に見えるんだけど」

 まずは霊を視認するため、補助アイテム無しでいろいろとやってみた。
 結果は失敗、適当に放った霊体(迷宮産)に殺されることで存在自体は疑わないが。

 やはり、というか間違いなく霊感のような概念が備わっていないのだろう。
 ……可視化されるほどのナニカを、相手側が持ち合わせていない限りは。

「じゃあ次は、レムリア世界の技術と素材で作られた補助具を着けて視るか」

 戦闘時も使えるよう、眼鏡というかゴーグルとして設計された視覚補助アイテム。
 それを着けて改めて、霊体を視認してみると──視界がまるで別物になる。

「……数、多くないか?」

《いくつか検証すべきことがございまして、量も多めにしております。旦那様、それらに色は付いておりますか? だいたいでいいのでそれを数えてみてください》

「色? あー、たしかに言われてみると違いがあるような……近くに赤が十個、遠くに青が五個、それ以外に黄色がたくさんだな」

 攻撃を特に多くしているのが赤、ゲーム的な認識が正しいなら悪霊の類いか?
 逆に遠くに居て何もしないのが、温厚な霊体……黄色はどちらにも成り得ると。

《はい。それこそ【霊媒士】の能力の一つです。霊体を視認した際、その危険度を色調として捉えることが可能です》

「危険度、と言っても俺との強さで計っているわけじゃないんだな」

《実力というより、敵対のし易さと言うべきでしょうか。色が示すものが絶対とは言えませんが、ある程度の指標として分かりやすく交渉相手を選ぶことができます》

 悪霊も使役できないわけではないが、その場合はそれなりに対価を取られる。
 だが温厚な霊体を選べば、少なくとも自分に被害が生じる可能性は低下するのだ。

 攻撃性を取るか安全性を取るか、ランダムではなく自分でそれを選べるようになる。
 少なくとも、【死霊士】を交渉術付きでやるスタイルの人にはぴったりな能力だな。

「視る分には、アイテム付きでどうにかなることは分かった。あとは対話と接触、後者はまあ上手くいったあとでいいんだが……対話かぁ、できるのか?」

 こちらもまた、レムリア世界産のアイテムでどうにかなることは確認済み。
 しかし、迷宮の魔物として出現する霊体では使えない……どうしようかな?

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