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DIY、コネ就職を求める
死霊適性 中篇
しおりを挟む万能の適性を持つ休人でも、その適性が一定量に達しなければ上級職の職業能力が使えない──『プログレス』はその問題を、適性の嵩増しによって達成することができる。
「ただし、システム的に問題が無いから万全に使えるわけじゃないんだよな……」
創作物でよくある、努力を経ずに得た力を持て余す展開と同じようなものだ。
結局、適性が無いからこそ制限が存在したわけで……当人は何も変わっていない。
そのため、『使える』と『使いこなせる』が違う状態なのだ。
俺は前者──使用可能になったからといって、発揮可能な性能を十全には出せない。
「【高位死霊士】はたしか、より理性的な個体を作れるようになるって話だったが……無理そうだな」
《ゲーム的に当て嵌めるのであれば、それは高性能なAI自身に何らかの形で旦那様を認めさせる必要がございます。ですが、適性の関係上旦那様はシステム経由で取れる選択肢が極端に減っているのです》
「つまり、結局はシステム関係なくやれることをやらないとダメってことになるわけだ。まあ、それについては仕方ない。レベリング自体は一号君で済ませられるだろうし……ついでにそっちの育成もしておこうか」
一号君、というのがこれまでレベリングでお世話になっていたアンデッドだ。
一から肉体を用意したうえで、擬似魂魄もきちんと与えた……それでも弱いけど。
作る過程、改造する工程、そして戦闘時の支援などで経験値を獲得可能だった。
今回【高位死霊士】になったことで、それらの幅もまた大きく広がっている。
「──“屍動”」
『……アー』
「起動成功っと。えっと、改造も用途に応じて選べるみたいだな……まあ、やれるだけ試してみようか。一号君、ついてこい」
『アー、アー』
一言ぐらいしか発せられないのは、擬似魂魄では全然人らしさを発露させるに至っていないため……これでも、:DIY:をかなり使っての大改造なのだが。
知能的な面はともかく、戦闘での獲得経験値の一部がこちらに回ってくるので、その方面での強化は尋常ではないぞ。
結果、【死霊士】が作ったアンデッドとしてはかなり強めな個体となっている。
そんな彼(無性)を迷宮内に用意してある改造部屋へ連れ込み、手術台に寝かせた。
「魔力での変質を職業システムが補正して、擬似魂魄のキャパを拡張できるみたいだな。これに関してはシステムに任せるとして……他は全部、自力でやるか」
システムによる改造は、確実性がある代わりに限度がある。
何でもかんでも改造する、というのはこれと決めた特別な個体ぐらいになるだろう。
代わりに、システムを用いず自力で改造をする場合はそこまで使わない。
改造後の調整に若干使っているようだが、結果として負担が軽くなっているのだ。
さすがに魂云々の改造は容易にはできないので、そちらはシステム経由で済ませる。
だがそれ以外、肉体的な面はこれまでと同じように──:DIY:、開始。
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