虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、コネ就職を求める

第一回職業解放後篇 その19

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 ご厚意もあって、拠点を手に入れた。
 個室かつセーブ可能な場所……神代技術の凄いところは、休人のその辺のシステムにもきちんと対応しているところだと思う。

「俺が降りた後は、普通に客にも使わせるとか言っていたけど……リスポーン地点として登録したまんまで降りて、死亡後に戻ってくるとかしたらどうする気だったんだろう?」

《事前の説明として言い含めるのでは? 特に外見上が女性のアバターなどの場合は、それによって発生するトラブルの一切に責任を取らない、と伝えるなどして》

「まあ、更新するからそんな事故は起きないけれども。ゆっくり船旅をするためだけに、わざわざここを使うことは無いかな?」

 空を飛べるようになったチート豪華客船の優れた点、それは入国が非常に困難な場所でもその有り余るチートパワーで強引に乗り込むことができる点。

 はっきり言ってしまえば、【魔王】の住まう大陸でも強行突破できかねん。
 さすがに神代魔道具かつ迷宮なこの船を相手取るのは、【魔王】でも厳しいだろう。

 まあ、そもそも船もとい海上移動ができること自体が、この世界では凄いことだ。
 ……なんせ海中にはうじゃうじゃと、超高レベルな魔物たちが生息しているからな。

「ちょうど、迷宮で出てきた深淵だかの魔獣もその一種だよな……さすがにあのレベルは常時とは言わんけど、並大抵の船は速攻で沈められるからこそ、休人もなかなか外海に出られないわけで」

《倭島への入国も、今なお正式なルートは確立していないようです。ごく一部、難破覚悟で突撃した休人が、奇跡的に辿り着きセーブポイントに触れられたようですが》

「……いつの間に。いつの世も、人の執念はとんでもないな」

 文字通り命を懸けて、そんなことをしている奴らも居たのか。
 ……俺だけ楽々、転移で運んでもらって申し訳ないな。

 しかも、一回は転移してもらえるのを拒んでいるわけだし。
 その一回を休人に売ったとしたら、どれだけの利益になったのやら。

  ◆   □   ◆   □   ◆

 話を戻そう。
 つまりこの船は乗っているだけで、次々と未知の場所に行くことができるのだ。

 休人の中にはそれを利用して、[マップ]の更新をかなり進めた者も。
 ……まあ、客ではなく乗員として乗ったので上陸扱いにはされなかったようだが。

《そういった方法の場合、正式に入国は認められないようです。船着き場での仕事のために降りることはできても、死に戻り地点の座標書き換えができないとのこと》

 それでも得られた情報を、情報屋経由でどうにか売って少しでもお金が欲しいとばら撒く者も稀に居るわけだ……それを手にしているのが、【大富豪】でもある俺なのだった。

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