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DIY、コネ就職を求める

第一回職業解放後篇 その15

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 ようやく【大船長】との対面を果たし、交渉のお時間。
 俺が彼に払える対価を考える……ただし、縛りがあるので蘇生薬と万能薬は無しで。

「そう、ですね……ご確認ですが、航海などでご入用の品はございますか?」

「この船は神代魔道具で迷宮だぞ? よく分からん凄い技術があるうえ、壊れても時間経過で勝手に直る……何か要るか?」

「ご不要ですね」

 神代魔道具の技術は高く、元よりそういった要素を高い水準で備えている。
 今回は船なので、それに合わせた技術も過去のハイレベルな物が充実していた。

 さすがにどこでも転移できる、なんてヤバさは無いのだが──移動は快適、進路は自動安全、娯楽は充実……と過去の人たちの贅が尽くされている代物なのだ。

 娯楽関係で飲食物なども充実しており、自動でポーションを作る装置などもある。
 ……奪おうにも、迷宮としての機構が固定化を図っていてほぼ不可能という万全さだ。

「──で、それが対価の予定だったなら話はここで終わりにするが?」

 今回、俺がお願いする立場なのでそれを拒否する権利は【大船長】にある。
 俺がすぐに何も提示しなかったため、そう告げてきた……無論、ここで終わらない。

「では、もう一つ。この船は冒険世界を股に掛けている、そうですね? それは、この世界のみを冒険することを目的としているからですか?」

「……いや。まあ、この世界を冒険し切れてねぇってのもある。けど、一番はこの船の制約だな。見ての通り、豪華客船なんだよ」

「…………過去の人々は、とてもユニークなお考えをお持ちだったんですね」

「俺もそう思うよ。だからこうして、使い続けているわけだ」

 制約は至ってシンプル、この船は冒険世界でのみ運用できるというもの。
 詰まるところ、彼がこの船を使う限り、決して外の星には向かえないということ。

「──ですが、その制限を外すことができると言ったら……どうしますか?」

「…………本気で言っているのか?」

「暗躍街。ええ、ご存じの通りここと同じく神代魔道具を基にした場所です。そちらで調べ事をしたことがあるのですが……ちょうどこの船を知る方に、会うことができまして。仕様の変更、できるかもしれませんよ」

 なお、俺はその人物を知らない。
 だが、知っているヤツを知っている──我らが『SEBAS』さんである。

「そうですね、確認が必要なのは承知です。なので、そちらの権限で調べていただきたいもが──『製作者『操造の船者』』、この一文をご存じでしょう?」

「!」

 おそらくこれは、【大船長】が誰にも伝えていないであろう一文。
 だがそれを知る者は他にも居た──他ならぬ作り手、彼らの魂魄だ。

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