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DIY、コネ就職を求める
第一回職業解放後篇 その07
しおりを挟む≪さぁ、続いては質ではなく数。数多の魔物たちにどう対処するのか? 先ほどと同じ手は通じない、まさか一体一体のお腹の中に潜り込むつもりか!?≫
二階層目(仮)は、大量の魔物が波のように押し寄せてくる設定だった。
……いちおう言っておくと、大なり小なりあっても人型なので腹に入るのは無理だ。
うん、『イッスンボウシ』やそれに似た能力を持つものに心当たりはあるけれど。
そんな時間を食う方法よりも、手っ取り早く済ませる方法があった。
「──“真海支配”」
魔導世界のお土産、人工の海水を作り上げる術式により、擬似海水を周囲に散布する。
本来なら、ここから『真海の主』の権能を模倣して使うのだが……今回は別。
「──“極小雷”」
それは【魔法士】の職業能力として組み込まれた魔法、ただし【見習い魔法士】を経てからでないと付与されない引き継ぎ特典。
発生し、迸る雷……というより、静電気。
出力の方はまったく期待できない、あくまでも属性適正を確かめるためか、生活に使うレベルの代物──それでも、意味はある。
先ほど用いた短剣のように、戦うと決めた俺が握り締めているのは一本の杖。
そこに宿る願望の力によって、極小の雷が一転、大気を震わす轟雷と化す。
「“兆雷撃”、でしたか? それなりに通ったようで何よりです」
通常でさえ、雷の魔力は純水である水の魔力を通過する。
それは現実には観測されていない成分、魔力を介して迸っているから。
だが今回使ったのは、人工の海水。
余すことなく電流は水を伝い、押し寄せていた魔物たちに苛烈な雷撃を叩き込む。
「ふむ、これならば大変刺激的なショーとできたことでしょう……おや、これでもうクリアということでしょうか?」
《いえ、おそらく──》
≪な、なんということだ! 第一陣が、こうもあっさりと! 卓越した水と雷の術式が容赦なく魔物たちを殲滅! この程度ではやはり足りなかったか──第二陣、出撃です!≫
《とのこと。どうやら、今回は旦那様がどこまで突破できるかを掛けている模様。一定時間経過、あるいは旦那様の死でこの階層は終了です》
耐久ゲー、というこだろうか。
今回の場合、どれだけ倒しても魔物は尽きることなく現れ、挑戦者が居なくなるか時間切れになるまでは終わらないと。
「……別階層への移動は?」
《問題ありません。魔物に対処できなくなった場合の非常手段として、次の階層への道は開かれております》
「後退はいつの間にかできなくなっていますしね……ふむ、今回のいいタイミングでお願いできますか」
《そうなりますと、第三陣ですね。先ほどのご活躍で、旦那様はやり手なのでは? と過去の記録から、それなりに多い陣数まで突破できると賭けておられる方もいるようです》
そういった賭け方も、俺のノリが違えば儲かっていただろう。
だが済まない、できるだけ倍率が高いところで突破したいんだ……犠牲になってくれ。
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