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DIY、コネ就職を求める
第一回職業解放後篇 その05
しおりを挟む≪おーっと、挑戦者がいきなり食べられてしまった! まさか、これで終わりかぁ!?≫
リュウグウノツカイ風の魔獣が相手。
武器を構えた瞬間、『深淵ノ使イ』は口を大きく開き──俺は食べられた。
「……どうだ?」
食べられた俺ではあるが、死に戻りはせずに体内に残ったまま。
ただし死に戻り地点には設定できなかったので、あくまでも時間制限付きだ。
呑み込まれ、飲み干され、すでに胃の中まで運び込まれている。
胃液が俺の体を溶かそうと迫ってくる……がそれを無視して、やるべきことを行う。
《成功です。内部の光景は映し出されず、現在は旦那様の死亡判定を待っている模様。消化に掛かる時間で賭けているようです》
「上等、やってやろうじゃないか」
その手に掴むのは、先ほど用意した武器。
ヌラりと液体を滴らせるそれは、武器そのものが金属では無く液体で構築された代物。
「『リキッドナイフ』」
短剣型のそれを、俺は胃の壁に突き刺す。
途端、激しい揺れが俺を襲う……なんてことになればよかったのだが、内部も丈夫なのかさしてダメージを受けた様子は無い。
いちおう[称号]の効果で防御無視、かつ固定ダメージ1は与えているはずだが、創作物でもよくある腹の中で暴れた時の抵抗染みた揺れは、まったく起きなかった。
「まあ、この辺は想定済みだけどさ。体の中まで完全防御仕様ってことか?」
《同様のやり方で、何人か攻略しているのでしょう。単純に種族が小人で、そういった方法を取らざるを得ない場合もあります》
「なるほどな……二番煎じか三番煎じってことだな。それでも、さすがにここまでされたことはないはず──“カスタムリキッド”」
それは、『リキッドナイフ』の発現者が唯一求めた能力。
俺は[インベントリ]からあるモノを取り出し、それを短剣に垂らす。
禍々しい、触れた空気すらも汚すソレの影響を受けた短剣もまた、使い手である俺を殺そうとするレベルで強烈な毒素を吐き出す。
「『万溶の毒液』、これならいけるよな!」
────ッ!!
「よし、効いてる効いてる」
先ほどは通じなかった一突きも、毒液を交えて刺すことで一変。
分かりやすく体を揺らし、叫び声を上げながら抵抗を始めた。
使用した液体を取り込み、調整したうえで反映させる。
それが“カスタムリキッド”の効果、お陰で毒性を若干薄めることができた。
「刺した瞬間に即死じゃあ、観客の皆様もお楽しみできないだろうからな……そうだ、どこまで持つかの賭け、一番盛り上がる時間帯の処で終わらせてやるか」
《そうなりますと、今から三分後ですね。このままですと深淵ノ使イが持ちませんが、いかがなさいますか?》
「なら[称号]、『無間地獄の体現者』を付けてくれ。もう一本、“カスタムリキッド”でポーションを付けて治しておくから」
《畏まりました。それでは、タイマーの方も設定しておきますね》
「おお、そりゃあ助かる」
悶え苦しむ魔獣の声をBGMに、ついでとばかりに体内から様々な素材を剥ぎ取ることにした……彼が苦しみから解放されるのは、三分後のことである。
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