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DIY、コネ就職を求める
第一回職業解放前篇 その07
しおりを挟む異空間に隠れ潜んでいた【大死導者】。
どうやら『プログレス』を見て、劣化版願望機だと気づく何かを知っている模様……聞き出す前に、こちらの事情を説明する。
「──『超越者』が星敵に堕ち、劣化した願望機をばら撒くとは…………ふはははっ、どうにも地上は狂ったことになっておるな! 挙句の果てにそれが【救星者】だと? 滅ぼす者の間違いではないのか!?」
「……誉め言葉として受け取っておきます」
「好きにしろ。だがそうか、なるほど……お前たち休人、星渡りの民が再び彼の地より舞い降りたか。ならば僥倖、死んでも死なぬ身であればいかようにも……」
あからさまに体を弄繰り回す、と宣言しているのだがそれは無視。
俺も俺で、似たようなことはある意味繰り返しているわけだしな。
「ああ、お前にはせぬよ。むしろ我が手を加えずとも異様なまでに歪だ。ハズレに時間を掛けるほど我の時間は余っていないのでな」
「……寿命の方、でしょうか?」
「そうとも言えるし、そうでないともいえよう。肉体や精神は超克した、問題は魂魄の耐久度だ。せめて霊薬、それも最上品の物があれば──おい、それはなんだ?」
「霊薬、それも最上品の物ですが?」
こう、クエストでおつかいをして来いみたいな展開だと思い、さっそく指定の品を用意してみる……蘇生薬や万能薬と似て非なる、レムリア世界の民たち愛用の品だ。
「霊薬の製造法は失われて久しいはず……迷宮で手に入れたのか?」
「いえ、自作です。先ほどご説明した通り、私には偉大なる失命神話の神々から祝福が与えられておりますので」
「……その対価は、なんだ?」
「話が早い。職業の解放、アナタにできる限界まで。そうすれば、こちらも現状で出せる物はすべて提供しましょう」
霊薬を一本、二本と並べていく。
現状維持ならば一本で足りるだろうが、おそらく完全復活には程遠いはず──なお、霊薬もまた水で薄めた希釈品である。
それでも評価はS、普通に世に出すならば充分怒られるに値する品だった。
裏事情を知らない【大死導者】は、訝しげにこちらを見ている。
「死霊術をまったく修めず、この地に辿り着いていただと?」
「『生者』は生き足掻く者、ゆえにもっとも死に近く精通しているのです。そのため、星にその行いが認められておりまして……たとえば『生冥の迷い人』や『死を極めし者』などがありますよ」
「[称号]か……我はそれを知る術を持たぬゆえに気にしてはいなかったが、今の時代は違うようだな」
「休人は肉体の特性として、原人であっても『プログレス』を介することでスキルや職業能力を必要とせずに閲覧と一部の変更ができるようになりましたよ?」
俺はだいたい固定だが、[称号]ビルドという戦闘スタイルの皆様はこまめに切り替えているらしい。
自分にとって価値のあるものを自由につけられる、それもまた『プログレス』を使用する利点となっているんだよな。
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