虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、コネ就職を求める

第一回職業解放前篇 その06

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 針山地獄の中を探し回ったが、どこを見ても【大死導者】は見つからなかった。
 どこに隠れ潜んでいる、そう考えた俺たちは炙り出しを行うことに。

「──ふっ、ようやく見つけたか」

「ええ、どうやらお待たせしてしまったようですね」

「我を探す者、それが生者ともなれば目が向く。極めて珍しいサンプルだな」

「……サンプル、とは酷いですね。私にはまだ、成すべきことがございますので、そちらはご遠慮させていただきましょう」

 結論から言えば、【大死導者】を見つけることはできた。
 そりゃあもう、『プログレス』から魔道具まで何でも使った結果である。

 隠れていたのは大きな針の内側、そこに仕込まれた異空間の中。
 物理的な細工は無く、霊体として潜り込まないと発見できない場所に在った。

 幸い、レムリア世界での経験もあってどうにか見つけることができたが……どうやら外側の様子はバッチリ見られていたようで、俺が探し回っていたのも把握している模様。

 異空間の中は、何も無いさっぱりとした場所だった。
 てっきり手術台とか謎の装置とか、いろいろと並んでいると思ったんだがな。

 そこでちょっと禍々しいデザインの本を開き、俺を待ち構えていた【大死導者】。
 半死半生だから若干透けているうえ、深く被った外套の中の顔を見ることはできない。

「そうだ、一つ尋ねたいことがある。その腕にある装置、そこから異様な力を感じ取るのだが、いったいそれはなんだ?」

「『プログレス』、世間に広まりつつある劣化版の願望機です。権能の枠を使用して、自らの願望に近い力を発現するとのことです」

「……ふむ、そういえばそのような名を聞いたことがある。だが、このような品とは──なんとも愚かな」

「愚か、とはいったい?」

 自らの作った品を、そんなドストレートに愚弄されるのはさすがに俺もどうかと思う。
 だが、それは憤りでは無く興味……そう思うだけの理由があるはずだ。

「蒙昧な。それは願望機なのだろう? どれだけ本物に及ばずとも、そう成り得る可能性が宿る。奴らの糧を自ら増やすとは、どこまでも救えないものだな」

「……糧、ですか。願望機には、それを可能とする力があると?」

「それぐらいは心得ていたか。願望機を単なる願いの器としか見ぬ輩には、到底理解できないことであろうな。奴らには目的があり、そのために人の欲を集めていた。それを助するなど何とも愚か……!」

 俺が知る願望機は、メカドラとメカトラしかいない。
 封印されていたメカドラ、破壊されていたメカトラは一部の情報が破損していた。

 だが、【大死導者】が知るそれらの情報は間違いなく俺よりも上。
 一つだけ分かること、それは──俺のやっていることは二番煎じだなぁということだ。

「ふんっ、だが気になることがある。権能として扱うと言ったな? しかし、お前はすでに権能を保有して…………無い? だがその反応は間違いなく……どういうことだ?」

「ええ、ご説明いたしましょう。先ほどから大変興味深い情報をお教えいただいておりましたし。私がここに来た目的も、せっかくですのでお聞きください」

 ギブアンドテイク、俺の勘がただ一方的に語らせるのはいけないと告げている。
 あくまでもこれが交渉と認識させ、まずは俺の扱いを改めてもらわねば。

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