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DIY、コネ就職を求める
第一回職業解放前篇 その04
しおりを挟む縫留の針山
冥界に引き籠もる【大死導者】に、職業の解放を求めなければならない。
含みのある言い方をする『冥王』に嫌な予感を覚えつつ、聞いた場所へ向かうことに。
「何ともまあ、地獄みたいな光景で」
《日本における地獄の一つ、針山地獄でしょうか?》
「そうそう、それそれ。アレはまあ、それでも登ることを考慮しているわけだし……でもこれって、そうじゃないじゃん」
この場所について聞いたとき、ここの説明もある程度教わっていた。
魂を縫い留める針の山、そこに囚人たちは刺されたまま放置されるようだ。
この時、痛覚が非常に高まっているし魂がそこに縫い留められている。
逃げられないし、逃げようとしたらお仕置きがあるし……うん、普通に地獄だな。
「で、ここは『妄失の荒野』と違って記憶の方はそのままなわけだから、割と有用な魂から情報をかっぱらう代わりに、情報を拝借しているわけだな。うん、天然の拷問で勝手に弱っているからちょうどいいわけだな」
《しかし、当の本人もこの針山の何所かに居るとは……【大死導者】には、そういった痛覚遮断の能力は無いはずですが》
「シンプルに無視できる何かを、備えているわけだな。耐えるとか、そういうことじゃないのは何となく分かる」
《それは、なぜでしょうか?》
「いやほら、そもそも半死半生っていう保険付きの状態でここに来るような奴だし。最初からここに居たわけじゃないって聞いたし、万全の状態になってから来たんだろうよ」
なお、[称号]を漁ってみたらそれらしき効果があるモノを発見済みだ。
……いやまあ、『どM』なんだけど、意外と名前とは裏腹に効果が凄いんだよな。
亡者たちが針に刺されて苦しむ山。
登山道のような場所も無く、木やら草やら地面やらすべてが針──これ、対策も真っ当な手段じゃないよな。
「とりあえず、生体反応を持っている奴が居ればそれが【大死導者】のはず……なんだけど、たぶん反応無いんだよな?」
《はい。これはいったい……》
「うん、『冥王』が具体的な場所を言わない時点で何となく分かった。マッドな連中が自分の居場所を、分かりやすく教えるわけが無いもんな。生きては居るだろう、でも権能の対象にならないよう何か仕込んでいるんだ」
自身の支配する冥界に限定し、全知全能に近いことができる『冥王』。
だがその対象に生者は選べない、だからこそ分からないことが分かり場所も判明した。
それ以上は【大死導者】側で妨害を組み込み、分からなくしているのだろう。
追手を想定しているだろうし、探し方も考えないといけないか。
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