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DIY、コネ就職を求める
第一回職業解放前篇 その02
しおりを挟む最上位職に就く者たちを探し、その系譜にある職業を解放してもらうことに。
ただし、縛りとして禁忌は犯さない……傍から見たら当たり前のことだけども。
「──けどまあ、少しぐらいズルをしてもいいよな」
まず初めに、『騎士王』の目が届かないような場所へ移動した俺。
手元を操作し、UIを弄ることで行うのは[掲示板]の確認。
「休人なら絶対、やるヤツが居ると思っていたんだよな……こういう商売儲かるだろう」
《旦那様、いらっしゃいました》
「──えーと、アンタが『田中さん』?」
「ええ、そちらが『山田さん』で?」
「あー、そうそう。それじゃあ、静かな場所に行こうか」
示し合わせた合言葉で、俺を自分の客だと判断する男の休人。
俺と彼は握手をした後、すぐに誰も居ない場所に向けて動く。
その間、UIを手元で操作して取引を済ませておく。
お互いに手を合わせたことで[トレード]対象に設定、ある物を交換する。
「まずは前払い分を」
「……ああ、OKだ」
向こうは何も用意せず、空欄の状態で俺が提示するものを確認する。
蘇生薬や万能薬は使わないと決めたので、代わりに──換金アイテムを差し出す。
強いとそれなりに経費が掛かるのだ。
だからこそ、この休人も金と引き換えに職業の解放をしてくれると[掲示板]で情報をばら撒いていた。
金銭そのもののトレードも可能だが、換金アイテムを出したのには理由がある。
一つはアイテムの状態ならば、自身の好きな形で動かすことができるから。
売り捌くも良し、預けるも良し、触媒として使うも良し。
直接やるよりも幅広く、用途があるからこその要求だった。
あと、確定で死亡時にデスペナで減ってしまう金銭よりも、ランダムとなるアイテムの方が都合が良かったというのもある……俺には関係無いけどな。
閑話休題
そうして場所を変えて向かったのは、特に何も無い路地裏。
男がそこで魔道具を起動すると、周囲と隔絶された空間が展開される。
とはいっても、感知系のスキルや術式に対する防衛が成されただけ。
だがそれで充分、男がこれから行う一瞬の出来事を外部に露呈させなければ。
「──“認定:助教授”、“認定:教授”、“認定:特任教授”…………。一次職は不要とのことだったな?」
「はい、そちらは問題なく──では、こちらが後払いの分です」
「……確認した」
彼は【教学長】という【研究者】系統の職業に就く休人で、その職業能力として他者に対して職業の強制解放が可能となっている。
もちろん、制限が何も無いわけではなく、あちらもノーリスクなわけではない。
どれも教えるための職業、それに値するだけの情報も彼に提供する必要があった。
「っ……これは」
「契約通り、記述外の情報については内密にお願いしますね」
「……ああ、分かっている」
男は研究のための金を、俺は職業を。
どちらも何かを得るために、いろいろと工面しているだけ……まあ、そこで得たモノをどう使うかは、そいつ次第だよな。
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