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DIY、コネ就職を求める
魔動再構築 中篇
しおりを挟む機械の箱庭からのお土産、魔動機盤。
それを解析し、改造することで住民である機人の銀花を強化できないか試みている。
「と、いうわけでこれだ」
「?」
「首を傾げるのは当然だな。まあ、改良を重ねたらこうなったんだ」
呼び出した銀花に、魔動機盤を見せた。
だがそれは従来のモノとはまったく異なる姿──具体的には、まんま消しゴムサイズのコネクターである。
「銀花は『SEBAS』へのアクセスが可能だからな、要らない要素を削減してみた。その結果、残ったのはこれだだけだ」
「唖然。差す形状ということは、これを体に繋ぐ必要があるということでしょうか?」
「そうなるな。それは『機械皇』が造り上げた魔力炉に作用して、適切な形で魔動プログラムを運用できるようになる追加ユニットってことになる」
「疑念。ですがそれならば、この形状でなくとも問題は無いのでは?」
「──ああ、まったくもってその通りだ!」
あくまでも、試作段階なので分かりやすく接続と解除ができる仕様なのだ。
失敗したとき、体内に内蔵したりしていると外すのも一苦労だろうから。
その点、差すタイプならそれを外すだけですぐに途切れる。
武装などよりも解除も容易い……と論理は完璧だ。
「他にも押すといい感じで音声が出る仕組みとかも組み込む予定だが……まあ、それは正規版のお楽しみだ。銀花、とりあえずそれをどこでもいいから差してくれ」
「確認……どちらがお好みでしょうか?」
「いや、本当にどこでもいいから」
渋々、といった様子で銀花は魔動機盤をうなじ辺りに差し込む。
接続されると、そちらから情報が流し込まれて使用可能な魔動が分かる仕様だ。
「サンプルだから、簡単なモノしかまだ入れてないが……好きなものを使っていいぞ」
「選択…………では、これを」
《魔動の発注を確認──情報を転送します》
銀花が魔動を選ぶ、すると使用する魔動の情報要請が『SEBAS』に送られる。
その申請が通れば、『SEBAS』の方から今度は別の情報が銀花に届く。
それこそ、魔動の鍵となる魔力操作の実行プログラム。
魔力に指示を与え、現実を書き換え、望むままに事象を生み出す。
「……電気か」
「『発電』、これがその魔動です」
「やっていることは本当に魔法みたいなんだよな……いちおうそれでも、ギリギリ現実でもできるらしいが」
魔法や魔術が魔力を加工して事象を生み出すのであれば、魔動の場合現実を加工して事象を生み出している。
似て非なるやり方であり、それゆえの欠点も多い……がそれでも再現はできた。
問題は、まだ『SEBAS』に頼り切りなことだが…………うん、それは今更だな。
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