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DIY、冒険を求める(続)
アンヤク(15)
しおりを挟む世界は変化を求めている。
そして今日もまた、世界の片隅で──箱庭で大きな変化が起きていた。
「……なるほど、つまりは原因不明か」
「はい。その場に居た全員……とは言えないものの、確認を取りましたが特殊なトリガーのようなものを引けた者は居ないと。これは【探偵】職を持つ者も同意しています」
「思考の一助にはなる、か……十中八九外部からの支援であろう。機械と魔力が混合する箱庭なのだろう? 大方、遠隔操作で手を入れていたのだろう。確証はない、だができないわけでもないはずだ」
「すぐに調査をさせましょう」
「…………まったく、代表には困らされてばかりだ。代表が箱庭に入り、出たことが確認されていない状態で箱庭が解放されれば……誰がどう見ても、代表の仕業だと知る者は思うだろうに」
「箱庭の解放、結果は魔動の外部への持ち出しぐらいか。それも管理者の協力無くして、未だ成し得ていないようだが。だが、あれは基本魔力を操作して物理現象に近い事象として発露しているだけ……それこそ困難だが」
「理論であって実現が難しいからこそ、魔動に管理者が求められている。開示された理屈でそれが可能なのは、最上位職の魔力補正持ちとそれに匹敵するスキル持ち、あとは……道具持ちぐらいか」
「箱庭に手を出す、そうすれば例の固有魔動も掌握可能だろうが……魔工機士たちが確実に動くだろうな。試練以降のスペックがどうなるか分からないうえ、代表の動きもどうにも読めん。様子見と行こうか」
◆ □ ◆ □ ◆
世界が変化を受け入れるように、箱庭もまた変化を受け入れざるを得ない。
ただ一人、魔工機士の男は顔の見えない友人とその変化を語り合っていた。
「いやぁ、負けた負けた! 純粋な力だけでなく言葉でも負けちまったよ!」
『────?』
「おう、俺じゃなくて副官だけどな。アイツも才女だって鼻っ柱を折られて、いろいろと考えるところができたってよ」
『────』
「分かってる分かってる、女子供には優しくが俺の機士としてのポリシーだよ」
『────、──────』
「ん? もう行っちまったよ。なんだ、気づいてなかったのか? こーんなデカい物を土産に残して、自分は犯罪者だから長居は無用だってな。まあ、ずっと居られるとこっちも仕事をせにゃならんからな、仕方ねぇさ」
『──、──────?』
「職業システムとやらが使えるようになる石とは聞いたぞ? こっそり休人たちにも使わせてやってほしいって言ってたな、あとこれがアイツらを蘇らせる物らしい。箱庭の力を奪うらしいから、置き場所は気を付けろよ」
『────』
「ああ、そっちこそな。休人たちもまたいろいろやってくるだろう。今度こそ負けねぇ、誰が相手でもな」
□ ◆ □ ◆ □
箱庭はこうして、解放される。
それに伴う大きな変化のうねり──それを生み出した当人が、目の当たりにすることは無かった。
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