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DIY、冒険を求める(続)

機械箱庭 その11

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 追いかけてきていた魔工機士たちを、階段のギミックを用いて振り出しに戻した。
 俺を阻む者はもう何も無い、最上階の一部屋に向かうのみ。

「さて、ここですか……最下層と対を成す、もう一つの欲の具現化」

 最下層の空間は、箱庭の恵みを人の都合に合わせた仕様に調律するためのもの。
 等しく与えられるはずのソレに、優先度を付けて分配を行っていたわけだ。

「魔動機盤は箱庭の恩恵、管理者がもたらした慈しみの形。ですが、それを用いるのは他ならぬ人……自分のモノではない代物を、欲深き我々は手中に収めようとしますよね」

 そこに在るのは一台の装置。
 空間中を機械が覆っていた最下層と違い、最上階にあるのは一つだけ。

 視ただけで:DIY:が教えてくる、これはすべての構造を暴き出せると。
 ──魔動機盤であれば、ブラックボックスな部分があるにも関わらず。

「純粋な機械、それ自体はターミナルにも配備されていましたね。仕様を合わせれば魔動機盤での制御も可能でしょうが──それをせず、秘匿しようと思えばそれは簡単には判明しないでしょうね」

 脳裏に入ってくる使用方法を引き出し、機械を起動した。
 起動に必要なコマンドなどもあったが、強引に『機械帝ロード・オブの手甲・メカニクル』でスキップする。

「──管理者を意のままに、それを行うための装置がこれ。無論、成功するはずなど無いのですが……」

 管理者には箱庭から、絶対的な恩恵が与えられている。
 それは古代箱庭のヘノプスで確認済み、箱庭を解放する試練を担うだけの力であった。

 だが、この箱庭の管理者はその恩恵を魔動機盤という形で人々に配っている。
 か細くはあれど、繋がりはたしかに存在している──それを彼らは利用した。

 ターミナルは箱庭の中心、そしてどの建物よりも高い位置まで伸びている。
 対する管理者は地底の奥底、何があろうともターミナルよりも上には来ない。

「条件付きの術式、上下関係を示す、莫大なエネルギーを箱庭の核から転用……本当に、どこまでも業が深い」

 調べれば出てくるわ出てくるわ。
 休人の出現で魔力の運用技術は格段に向上し、間もなく完成していただろう……試練が始まりだいぶ焦ったんだろうな。

「部分的に、段階的に行われていた検証は順調だったようですね……管理者が試練を終わらせられないのは、それが原因と」

 俺たちの情報網[掲示板]では、そういった内容が賑わっていた。
 どうやったらクリアとなるのか、管理者自身に聞いても分からなかったようだし。

 だが、俺がここに来た時点で間に合った。
 あとは管理者に及んでいる術式の影響を、こちらで修正して無力化すれば……少なくともクリアにはなるだろう。

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