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DIY、冒険を求める(続)
機械箱庭 その10
しおりを挟む一歩ずつ登らないといけない階段を踏み締め、“影鬼”──影法師をばら撒き移動中。
この上に辿り着かなければ、おそらく休人たちが目指すゴールは迎えられないだろう。
「『SEBAS』、下の状況は?」
《問題ありません。最下層は魔工機士であろうと入ることが許されない場所、そのため彼らの対する策もいくつかございます》
「それが侵入者の手に落ちる、なんて自体は想定していなかったわけだな」
《はい。加えますと、魔動機盤を保有しない外部からの、ですね。魔動機盤に対し、強力なジャミングが発生するのです》
まあ、何とも面倒臭い……こちらの箱庭の住民は基本的に、魔動機盤運用を前提とした魔力操作技術になっているので、素で使えるものはそこまで多くないのだ。
おそらく、先ほどから俺を追いかけている二人組などは何かしら可能な術があるはず。
だがそれは一握りの実力者に限り、魔工機士でもできない者も居るだろう。
「スキルは使えるんだよな。ただ、魔法関係は基本的にダメなのか……まあいいや、それよりも──見えてきたな」
ひたすら歩いてきたことで、ようやく果ての無かった階段の終わりが見えてきた。
そこにあるのは小さな扉、人ひとりが入るのがやっとな大きさだ。
お偉い様方からしても、そう多くは使わない場所だからだろう。
……その時に一人だけ、護衛も付けずに中に入れれば良いのだから。
「後ろは…………おおっ、頑張ってるな」
階段を一歩ずつ、だが走るように急ぎながらこちらへ向かってきている魔工機士たち。
ここでは空間を渡れないからこそ、まだ追い付かれていないが……来そうだな。
「『SEBAS』」
《畏まりました──ドローンを展開します》
「うぉっ、ドローン!?」
「これは……はっ?」
これまでは使っていなかった、純粋な機械の産物であるドローン群。
それをこのタイミングで使う──あえて、不意を突くために。
ドローンが何をするのか、彼らも驚いている間に行動開始。
まずドローンたちを突っ込ませ、そのうえで結界を展開。
目的は彼らにぶつけることで、階段を踏み外させること。
だがそんなことは彼らも承知、武器を即座に構える。
「『事ぎ……ぐおっ!」
「総隊ちょ……くっ!」
「──それでは、またいづれ」
それでも、『SEBAS』が入念に計算した配置は完璧だ。
超小型のドローンが放った弾丸、死角から放たれたソレを彼らは受け切れなかった。
足を踏み外す。
それでも彼らは踏ん張り、どうにか転落だけは防いだ。
しかし──その足は階段を二段下に。
彼らはこの場のルールに逆らった結果、この場から消える。
他の魔工騎士たちも同様、あっさりと消えていった。
今から追いかけてももう追い付かない。
さて、お部屋の中でやるべきことをやらないとな。
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