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DIY、冒険を求める(続)

機械箱庭 その06

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 追い詰められた俺は、逃げ足を高めて全力で後方に走った。
 どうやらその後、魔工機士が増えたようだが……嫌な予感がする。

「エクリ、イケるか?」

『創者様が“無影供”を用いてくださったお陰で、損耗は軽微です。自動修復で充分に対処可能な範囲でした』

「なら良し。さて、普通ならこのままやるだけで逃げ切れるとは思うが……この体、唯一の欠点で確実とは思えないんだよな」

 エクリの問題、それは強いこと。
 ……いやまあ、正確には俺という超絶虚弱な体質では無くなっているという点。

 死神様の加護である、死の警鐘。
 これが過剰に鳴るからこそ、俺は通常の探知や索敵といったやり方よりも遥かに多くの生命体を探ることができる。

 しかしエクリの体がそんなに貧弱なわけがなく、“星記改悪”で能力値を改竄しようとも死の警鐘は鳴らない……エクリのスペックが高過ぎるからな。

「事象への干渉ができる、もしかしたら外部だとそれだけの力は出せないかもしれない。でも、ここだとそれができるから別に関係ないか……たとえばそう──空間干渉とか!」

 死の警鐘は鳴らずとも、方法はいくらでも存在する。
 エクリの根幹、闇の力を操るソレで周囲の暗がりを感知領域としていた。

 それに引っ掛かったのは、俺が走り抜けたすぐ後ろ。
 横に振るわれた斬撃、それがどこまでも一直線に飛んでいく。

 一方の俺は感知した時点で跳躍、足を天井に張り付けて──そのまま走っていた。
 感知できたのは二人、先ほどまで相手にしていた魔工機士ともう一人。

「おおっ、マジで凄いな…………とっさの反応でそこまでできるのかよ」

「さすがは、と言うべきなのかもしれませんね。私の『空隙』の展開よりも速く、動いていなければできません」

 眼鏡を掛けた女性、その腰には二丁の拳銃ホルダーが下げられ、片方が抜かれている。
 どうやらそちらが、あるいはその双方を合わせて『空隙』という固有魔動なのだろう。

「逆さまに走ってやがる。アレ、何とかできるか?」

「無理ですね……ですが、妨害ぐらいはできるでしょう」

「!」

 拳銃の引き金が引かれる。
 すると俺の向かう先々に、次々と闇では干渉できないナニカが発生していく。

「射撃開始」

 そして、もう片方の拳銃を抜くとそちらの引き金も引いた。
 すると穴のそれぞれから、魔力で構築された弾丸が一斉に飛んでくる。

「──ッ、『回避』!」

 弾丸を闇の操作して、あるいは魔術で防ごうと思ったが……ゾクリとする感覚、そして先ほど固有魔動にやられたことを思い出し、それを止めて擬似スキルを起動。

 回避スキルが再現され、自身の意思に反し放たれる攻撃すべてを避けるべく動く。
 余裕が生まれた意思で、闇を動かし弾丸に向ける──が、弾丸はそれを貫いた。

 正しくはない、闇に穴が開いたわけでも消されたわけでもない。
 だがたしかに弾丸は物理的・魔力的防御を備えた闇を越えて、その先へ向かっていた。

「空間干渉、つまり防御の透過!」

「あー、またバレちまった……」

「なるほど、たしかにこれは総隊長も苦戦しますね」

「ご覧の通りだ。それじゃあ、頼りにしてますよ副官殿」

 思考を口に出してしまったが、やはりこの線で間違ってはいないだろう。
 しかし、さっきの魔工機士の肩書……やっぱり滅茶苦茶ヤバいヤツだったよ。

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