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DIY、冒険を求める(続)
第二の箱庭 その29
しおりを挟むターミナル、休人たちがこの箱庭を訪れる際に出現する場所。
だがそこは、かつてある休人によって内部に損害が与えられていた。
ゆえにその休人は、危険な存在として住民たちから危険視されている。
──ターミナルは不可侵の存在、そう彼らは理屈を知らずとも理解しているから。
「そして、その実行犯たる私は招かれざる客なわけですが……とても、静かですね」
俺が無数に隠蔽を掛けているからというのもあり、通る者たちに認識はされていない。
……しかしその数は極めて少なく、魔工機士のような者は全然居なかった。
その理由は間違いなく、休人たちが行っている試練への挑戦。
──そして、先ほどまで俺が行っていた魔工機士たちの挑発だ。
「さて、ここですね」
ターミナルの中でも、普通に休人がここに来ただけでは来ることのできない場所。
入り組んだ道の先に配置された、一台の昇降装置。
「識別用の魔動機盤、当然私では利用することはできませんね……まあ、その辺はごり押しで──『機械帝の手腕』」
装置に対して使用するのは、機械に干渉し支配する手甲。
これまでは純粋な機械に限定されていたその機能を、新たに魔動機盤にも対応させた。
少なくと、誰も干渉してこないモノならば問題なく。
手に触れた装置、その機構を解析してハッキングが実行される。
『ケケケ、権限ガ、確認サレサレサレ……サレマシtatatatatata…………』
「おっと、これは不味い」
ハッキングは済み、装置は閉じられていた昇降装置の入り口を開く。
だがそれは完全ではなく、システムの派祖音と共に警報が鳴り響いた。
とりあえずは移動しよう、ということで昇降装置の中に入り画面を操作。
あくまで壊れたのは扉を開くためのシステム、運用自体はどうにかなった。
「さて、これとこれとこれ、あとは上と下を同時に……よし、出た出た」
特定の順番で装置を操作することで出現する、隠しボタン……なぜかマニュアル式。
それを押すと扉は締まり動き出す──下へ下へ、奈落の底へと。
「じゃあ行きますか、ここの本当の中枢に」
◆ □ ◆ □ ◆
ターミナル 最下層
管理者は箱庭を管理する存在──であると同時に、あるモノを守護する存在だ。
そしてソレは、管理者が直接保有せずにいる場合もある。
初めてここに来た時、もうすでに分かっていたことだ。
俺の職業【救星者】は、ある意味管理者以上の権限を持ち合わせているから。
「管理者は、人自身にこれを委ねた。それを正しく使うと信じて……この箱庭が残っている時点で、これまでは問題なかったわけだ」
機械がぎっしりと敷き詰められた空間。
だがその中に一つ、異物のように存在するソレ──光り輝く宝珠に向け、俺は歩を進めていった。
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