2,428 / 2,834
DIY、冒険を求める(続)
第二の箱庭 その26
しおりを挟む俺を追い詰める魔工機士。
彼らは特殊機盤と呼ばれる通常よりも性能が高い魔動機盤を使用し、俺を捕えようとしていた。
「──『偽・武神』起動」
遠距離の攻撃で牽制し、その合間を縫うように接近戦を何人かの魔工機士たちが直接仕掛けてくる。
それに対し、俺が行うのは結界を纏い操ってもらうこと。
身力に頼らない、純粋な武道であればほぼ無敵な力。
膨大な戦闘データを参照し、最適な動きを割り出してくれる。
──ただし、人体を無視した最適なので大抵は自損事故になっているけど。
「──“千変宝珠”」
警棒を振るわれ、掌で流す。
その他の攻撃もどんどん流し、反撃をすることなく対処することだけに専念する。
加えて、“千変宝珠”を展開して遠距離攻撃もシャットアウト。
球体を盾とし、空間属性を与えることで断絶した空気そのものを強固な壁とする。
「なっ……!」
「さて、どうしたものか」
やがて攻撃が収まった頃、盾の形状から武器に“千変宝珠”を変えていく。
剣や槍だけでなく、籠手や矢なども展開していった。
「貴様、何をしている!」
「見ての通り、時間稼ぎですが? ふむ、魔動機盤のプログラム起動には共通して詠唱は不要ですが、それは特殊機盤も同じことでしたか。ウワサでは、固有のモノには必須とのことでしたが…………ああ、無いのですか」
「うるせぇ!」
「それは貴方が、ですよ。皆さん、とても静かに任務を全うするべく動いているというのに……先ほどの挑発に応えたことと言い、まだ未熟なのですね」
接近戦を仕掛けていた魔工機士の一人が、ちょうど先ほどの挑発に乗ってくれた若いヤツだったので会話をしてみることに。
彼らの情報は集めているが、やはり生の情報が欲しくなる。
気になるのは話している通り、固有のプログラムの存在についてだ。
「他の方々はいちいち手を出さずとも結構ですよ──“魔道錬産・風”」
『ぐあぁっ!』
「くそっ、先輩たち!」
まだまだ若い彼を残し、接近戦をしていた魔工機士たちを一掃する。
魔力の消費は少々多め、魔道具を模した回路を宙に錬金してみた。
「その気になれば、いくらでも死傷者を生むことはできますが…………私は、あまり無駄な殺生は好みませんので。可能であれば、諦めて情報をお教えいただけると助かります」
「…………誰が貴様なんか。我々は、決して悪には屈しない!」
「ええ、ええ、それぐらいの威勢が無ければいけません。どうぞ好きなだけ、心行くまでご抵抗ください。そして、最後には私の求めるモノをお教えくださいね」
「死んでもごめんだ!」
周囲に結界を展開、彼らはこれを壊すまで若者を救えない。
この状況をどうにかするなら…………はてさて、どの方法を取ってくれるだろうか?
0
お気に入りに追加
648
あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」
リーリエは喜んだ。
「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」
もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる