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DIY、冒険を求める(続)
第二の箱庭 その22
しおりを挟む魔動基盤を調べて分かったこと、それは核となる部分に管理者が手を加えたと思われる理の力が観測された。
その力に箱庭の住民が依存する限り、彼らが反旗を翻そうと管理者には敵わない。
休人がこの箱庭を訪れたこと、それこそが変化を促す切っ掛けになるだろう。
「──ああ、ついにか」
《はい。旦那様によるデバイスの改造、力を付けた休人たちが行動を始めました》
「俺たちからすればある意味ようやく、になるんだろうが……やっぱり、こっちの人たちからすれば別なんだろうな」
改造屋として魔動機盤を弄り、性能を上げていたのもそれが理由の一つ。
これにより、休人たちは住民たちが発行する[クエスト]をより速くクリアしていた。
彼らの貢献に渋々、重い腰を箱庭の住民も上げ──規制していたエリアを解放する。
という流れを何度か繰り返し、休人たちは管理者を見つけ出した。
「[掲示板]も大盛り上がりだな。さすがに非公開にしとくには、隠蔽性に欠ける派手さがあったからな……」
それは前日のことだ、依頼も無く次の隠れ家を探しに行った俺が見たモノ。
突如として爆破する地面、そして漏れ出した休人たちの死の残滓。
そして、できた穴が勝手に塞がっていく謎の現象──当然、他の休人たちも調べる。
結果、公開されたのが少数で挑んだ管理者との試練の経緯。
魔動機盤の所持を必須としつつ、そのうえでそれが使えないという鬼畜仕様。
装備していないとダメージは通らず、かつ相手のダメージが強化されるとのこと。
「参加者の人数制限が無かったから、今度は大々的に挑むわけだ……まあ、休人たちだけなら失敗しても失うのは経験値だけだし、そこまで困るものでもないか」
死んでも終わらない、何度でもやり直すことができる休人。
その行いは誰にも止められない──少なくとも、箱庭の管理者はそれを許容している。
《管理者による通達が、出回っております。管理者自身が望むこと、そのように》
「……けどまあ、管理者が望んでもこっちの住民が望むかはまた別の話だよな」
隠れ家を変え、手に入れた情報を眺めた。
そこには休人たちによる試練の達成は、管理者の終わりを意味し──魔動機盤による文明が崩壊する可能性があると記されている。
これが誇張なのかそうではないのか、知るのは管理者のみ。
しかし先の通達以降、いやそもそもそれ以外で管理者が言葉を示したのは遥か昔。
結果、住民たちは自ら選んだ──魔動機盤のある生活を守るべく、休人の前に立ちはだかる形で。
急速な変化は、抵抗を生む。
彼らは捨て切れなかった、そして休人たちの意図も理解できなかった──絶対的な認識の差、それが明かされていないがゆえに。
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