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DIY、冒険を求める(続)
第二の箱庭 その20
しおりを挟むキーボードを意図せず叩くだけの簡単なお仕事、用意された情報を読み上げ、客の持つ正規品を改造品にしていた。
「はい、できましたよ」
「も、もうですか?」
「はい。宣伝広告にもあるように、丁寧さと速さをモットーとしておりますので。枠の追加、そしていくつかのプログラムの一体化、完了しました」
俺は特に何もしていないが、代行者としてそれっぽいことを言っておく。
宣伝広告は俺の所在地を、暗号込みで情報端末に送っているものだ。
なお、本来の改良はかなり難しく、それを行うのにはかなり時間が掛かるらしい。
さすがは『SEBAS』、それを遠隔操作でやっているのだから。
魔道具で表示させたプログラム、そこに見せるのは発動時の出力イメージ。
斥候として行っていた複数のプログラム、それが一つになっているシミュレーション。
「──といった形になりましたが。いかがでしょうか?」
「……凄い! これなら、今よりももっと有効的に……」
「それは良かったです。枠の方も、それ自体は問題なく正規品と同じ方法で追加することができます。あくまでも、修理に出すなど内面を精密に確認されることが問題です」
「あ、あの! か、可能でしたら空いた枠のプログラム、お願いできませんか!?」
「…………すみません、既存のプログラムに手を加えることはこちらでも請け負っているのですが、それ以上は。こちらについては、広告にも入れてあったと思いますが」
新しくプログラムを作る、それははっきり言ってまったく問題ない。
ではなぜそれをしないのか──出所の説明が非常に困るからだ。
既存のプログラムを改良、一体化させることは頑張ればできなくもない。
必要不要を見極め、併用による無駄をカットする技術さえあれば誰でもできる。
だが新規の場合、最悪そのプログラムをこの箱庭の偉い人に提出しなければならない。
きちんと管理されている代物なので、完全オリジナルはさすがに確認されるだろう。
休人だから、という理由は無駄だ。
すでに現実のプログラム技術を持ち込み、新しいプログラムを作った人々がどうなったかを知っている。
拘束はされないようだが、何らかの形で監視が付けられていた。
誰でも使えるプログラム、だからこそその開発者は常に目を向けられる。
「あーあ、これで魔動機盤が外でも使えれば便利だったんですけどね……改造でどうにかなりませんか?」
「さすがにそれは……」
「あはは、ですよね。すみません、無理言ってしまって」
そう、魔動機盤は外では使えない。
そもそも例の出入り口で回収されているのだが、それでも『プログレス』を駆使して持ち出した休人が居た。
だが、外に出た時点で魔動機盤はうんともすんとも言わなくなったらしい。
──俺は『SEBAS』に聞いて理由を把握しているが、まあもっともな理由だ。
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