虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
上 下
2,414 / 2,853
DIY、冒険を求める(続)

第二の箱庭 その12

しおりを挟む


 情報を求めてそれっぽい部屋に侵入。
 配備されていた機械を支配したが、それに抗う『魔動機盤』付きの機械たち。

「──潰せ」

 操れている純粋な機械群を操作し、そうではない機械たちを壊すよう指示を出す。
 それに従い、本来俺に向けるはずの銃弾や高電圧ロッドが魔力仕掛けの機械に飛ぶ。

「…………意外といい勝負になってるな」

《この部屋の警備を『魔動機盤』無しで行える程度には、性能が高いのでしょう。本来であれば、侵入者諸共『魔動機盤』を使えなくしたうえで鎮圧するための機械。むしろ、対等に戦えている方が驚きかもしれません》

「まあ、そもそも戦わせていること自体、本来ならありえないんだろうけどな……さすがはメイド・バイ・俺なアイテムだ」

 触れた機械を、そして今では触れずとも一定の距離にある機械ならばハッキングすることができる『機械帝の手腕ロード・オブ・メカニクル』。

 それにより、かなり高度なセキュリティが施されているであろう機械たちもあっさりと支配下に収めることができた。

「……機械とはいえ、表面に何もしていないわけないか。うん、撥魔性は十分だな」

 物理攻撃を果敢に繰り返す機械たちに対して、『魔動機盤』付きが行ったのは魔法のようなナニカ。

 ショートさせるためか電気を迸らせ、機械に向けて次々と放っていった。
 が、そちらもそちらで侵入者がやりそうな手だからだろう、普通に防いで対応する。

 気になるのはその際、機械の表面で魔力が若干掻き乱れていた点。
 おそらくそれこそが、純粋な機械用に搭載された対魔力の仕込みなのだろう。

「結局のところ、数が物を言うような気がするが……ちょいと手助けをしてみたらどうなるかな──“修復リペア”」

 生産職は大半が解放済みな【救星者】。
 そちらは常駐化も済ませており、取り揃えもかなり豊富だ。

 今回使ったのは【整備士】系統の職業であれば、誰でも使える“修復”。
 耐久度に加え、損傷を少しだけ回復することができる応急処置のような能力だ。

 ただし、今回使ったのは【整備士】系統の能力が重ね掛けされたうえ、“職業強化”により更なる補助が付いた“修復”。

 普通よりも高い性能を発揮し、単体相手の所を複数同時に回復させていく。
 結果、『魔動機盤』付きの機械との差は圧倒的になり──支配した機械が勝利する。

「あーうん、やり過ぎたかな……とりあえず回収だな──“窃盗懐スティールポケット”」

 勝利した機械をそのままにしておくわけにもいかず、片づけることに。
 ただし、俺は支配しているだけで機械を所有しているわけではない。

 ここで使うのは、【見習い盗賊】を経て手に入れた職業能力“窃盗懐”。
 入れられる数は少ないが、所有権を持っていなくても中にアイテムを入れられる。 

「そして拡張──『シーフストア』っと」

 機械を全部入れるのには足りなかったその枠を、『プログレス』で拡張する。
 盗んだ物を保管しておきたい、ある使用者の願いが職業システムと重なった結果だ。

 今回使うのは、窃盗品の保管枠を増やす機能だが他にもいくつか能力が存在する。
 ……たとえ能力が犯罪向きでも、当人の願いを叶える──それが『プログレス』だ。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~

山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」 母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。 愛人宅に住み屋敷に帰らない父。 生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。 私には母の言葉が理解出来なかった。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。 了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。 テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。 それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。 やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには? 100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。 200話で完結しました。 今回はあとがきは無しです。

傍観している方が面白いのになぁ。

志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」 とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。 その彼らの様子はまるで…… 「茶番というか、喜劇ですね兄さま」 「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」  思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。 これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。 「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。

【完結】会いたいあなたはどこにもいない

野村にれ
恋愛
私の家族は反乱で殺され、私も処刑された。 そして私は家族の罪を暴いた貴族の娘として再び生まれた。 これは足りない罪を償えという意味なのか。 私の会いたいあなたはもうどこにもいないのに。 それでも償いのために生きている。

処理中です...