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DIY、冒険を求める(続)

第二の箱庭 その01

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 冒険世界 仙郷

 久しぶりに冒険をしよう、そんな思いでレベリングを一時中断しての外出。
 向かったのは監獄で聞いた、俺に会いたいという者が居る場所。

「──待ってたよ、ツクル! 星敵だろうと『超越者』だろうと関係無いよ! ツクルにはツクルの価値がある──そう、あたしの素晴らしき悠々自適生活の道具を作る才が!」

 意気揚々、いちおうでも客人を招き入れるという名目で仕事が中断となったからか。
 とても嬉しそうな笑みで俺にそう告げるのは、仙人の街の王──【仙王】ワンだった。

 そのことを『闘仙』から聞いていた俺は、あえて目的地に直接転移で向かわず、連絡をしてからこちらを訪れている。

「王、お前というヤツは……」

「だってだって、永仁ローばっかり外で遊んでてあたしはダメって酷くない!?」

「俺のは仕事、それも星からの勅命だ……あの『騎士王』ですら果たせぬな」

「えー、そんな無謀なことしてきたの? 不可能って言ってるようなものじゃん。あー、それなら振り払ってでもまったりしていた方が良かったかも」

 やる気が無い、仕事に対する意欲が湧かない【仙王】。
 その類まれなる才から王の職を手にした彼女だが、適性と意思は異なるもの。

 そのため、日常生活に便利なグッズなどを持ってくる俺は彼女にとって有用な存在として認められ定期的に商品を送っている──お陰でこちらも仙人系のアイテムが手に入る。

「それで、今日はどうして来たの? 連絡は受けてたけど、目的は聞いてないよ」

「ええ、実は近くの大河に行くことになりましたので。そのついでと言いますか」

「大きな河って言うと……黄龍河のこと?」

「黄龍河……ええ、そこですね」

 名前を正直把握していなかったが、おそらくそこで間違いない。
 なんせそこは、中華風の帝国の近くにある河だし……名前からして、たぶんそうだ。

「そういうことでして、ご挨拶が済めばすぐに向かうことになります」

「えー、もうちょっといてよー。ツクルが居なくなったら、また仕事をやらなきゃいけなくなるんだよー」

「…………それの何が悪い。王たるもの、常日頃から意識をだな──」

「まあまあ。そういうことでしたら、書類整理のお手伝いでもしますよ。もちろん、内容についてはすぐに忘れます。ああ、仕事の合間に間食などもいいですね」

「えっ、本当!? それならあたし、少しだけ頑張れるかもしれない!」

 チラリ、と【仙王】は『闘仙』を見る。
 しばらくして、深い溜息を吐いた姿を見た彼女は、すぐに俺の手を掴み仕事へ向かう。

「それじゃあ、早く済ませておやつだ! ツクルも手伝って! どうせ見られて困るようなものも無いから全部ね!」

「……『闘仙』さん?」

「すまんな」

 たった一言、そこに込められた大人の処世術……うん、後で契約書でも書いておくか。

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