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DIY、冒険を求める(続)
職業ビルド 後篇
しおりを挟む「ああ、俺が薦める職業はずばり──【狂戦士】系統だ」
タクマと職業ビルド(『プログレス』装着前提)について話していると、アイツ自身のオススメを聞かされることに。
名前で分かる通り、狂った戦士。
下級職派生に存在していたので、俺もレベル上げだけはしたことがある……が、あまり価値は見いだせなかった。
俺のそんな思考を表情から察したのか、すぐにプレゼンを始めるタクマ。
「まあまあ、そんな顔するなよ。ちゃんと理由はある。ちなみにこれ、職業に就く前提さえクリアしてれば誰でも可能だぞ」
「ほう、聞かせてもらおうじゃないか」
「ああ、といっても『プログレス』の能力そのものはあまり関係ない。というか、おまけの機能みたいな方が重要なんだよ」
「……って言うと、『WITHシステム』とか『コネクトシステム』みたいなヤツか?」
原人には無償で、休人たちにはこちらの金銭でアップデート可能にしたシステムだ。
キャパはほぼ使わず、実用性やら利便性のあるモノにだと自負しているぞ。
「そう、その中でも『WITHシステム』の方が今回の鍵だ」
「……つまり、補助してくれる存在か」
「正解! 設定と育て方次第じゃ、肉体の操作補助もしてくれるからな。【狂戦士】の制御不能状態における自己強化、それを耐性無しでデメリット無しで使えるってのがビルドのポイントだ」
「…………あー、そういうことか」
つまりあれだ、俺が『SEBAS』に任せていつもやってもらっている肉体操縦。
アレを『プログレス』自体にやってもらうことで、体を制御するわけだな。
俺がその価値を分からなかったのは、普段からその状態に慣れている点。
加えて、当時は“孤独蟲毒”も無かったので強化量も絶無だったからだろう。
「術師なら【狂術師】にすればいいし、初めは無理でも『プログレス』自体が学習していけば暴走度合いが上がっても対処できる。まさに完璧なビルドだ」
「ふむふむ、なるほどなるほど…………ところでタクマ、お前このビルドを誰かに教えたことあるか?」
「…………いや、無いけど」
「だろうな。たしかに体の動きぐらいは制御できるだろうけど、さすがにスキルの発動とかを補助してくれはしないもんな」
「…………」
沈黙がすべてを物語っていた。
そう、『プログレス』の補助が体の制御まで行き届くのは事実──が、それ以上はさすがに無理。
うちの『SEBAS』でも、操作はあくまで結界を操作して捻じ曲げる形なのだ。
暴走中はスキルを使えない、【狂術師】は使えるけれど似たような縛りが存在する。
「まあでも、参考になったよ。何か進展があれば教えてくれ」
「……了解」
そんなこんなで、あとは『SEBAS』から聞くことにして店から出る。
……『SEBAS』の『プログレス』だったら、たぶんできるよな。
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