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DIY、冒険を求める(続)

職業転写 後篇

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 風兎や俺の属性適正について語ったり、魔物たちが使えるように改良した魔道具を生産したことについて話したり……そうこうしていると、魔物たちが転職し終えた。

 俺と風兎も『系統樹の進晶』が置かれた場所──神・世界樹の洞に入ることに。
 なお、俺は【救星者】の“職業系統樹”でいつでも転職できるので何もしないぞ。

「まずは参拝だな」

『ああ、重要だな』

 これに関しては、風兎だけじゃなく魔物たちにも欠かさずやってもらっている。
 特に決まった仕草は無いが、祈り──失命神話の神々に感謝してもらっていた。

 魔物たちも最初は意味が分かっていなかったのだが、風兎の懸命な説明──そして俺が提供するすべてが創造神様のお陰だと説明すれば、祈りを捧げてくれるように。

 ……うん、ご飯の力は偉大だ。
 風兎に関しては、五体投地をして祈りを捧げている──対象は失命神話、そして森獣たちの祖である神獣だと言っていた。

「……よし、じゃあ行くか」

『お前はもう少し祈る時間を伸ばせ。聖職者の力も得ているのだろう?』

「もともと無神論者だからな。そりゃあ、向こうでもお参りとかはしてたぞ? でも、どちらかというと報告って感じだったしな。長く祈ると…………そうだ、質が下がる気が」

『……質、か。民たちの祈りはたしかにそれが理由でいいが……それでも、【宣教師】であるお前がそれではいかんだろう』

 神様たちの力の源──神気という概念。
 ルリから教えてもらったのだが、その補充は主に信仰由来とのこと。

 そして、その方法の一つが他者からの祈りでの獲得らしい。
 重要なのは時間ではなく質、強い念……想いの強さで届けられる神気が変わるそうだ。

 まあ、それでも一瞬だけ強く念じるだけでは届かない……データ通信のように、軽いものならともかく重たいものは送信に時間が掛かるわけだな。

  ◆   □   ◆   □   ◆

 その後、風兎は予定通り【風揮師】に就職した──この職業は別に魔法系、というか魔力云々に特化した職業ではない。

「今まで悪かったな、わざわざ魔法の詠唱まで覚えてもらったのに」

『まさか、職業システムが宣言を必要とするとは思っていなかったがな……だが、その経験は必ず活かせるだろう』

 職業システムによる補正、それは本来人族が使用することを前提に作られている。
 ゆえに【魔法師】系統の職業補正は、魔法の詠唱を行う際に機能するものが多い。

 最上位職や一部の上級職ならば無詠唱やらそれに準じた補正も機能するのだが、下級職ではさすがにまったく無かった。

 ゆえに風兎も、魔法を使う際に詠唱をしたうえでの行使が求められてしまった──言語はともかく、求められる詠唱文を読み上げる意思は確実に必要になる。

 ──だがその点、【○揮師】系統の職業にはそれらが存在しない。
 代わりにデメリットがいくつかある代わりに、属性の力を自在に操れるようになる。

 つまり、天然物で風を生み出し自在に操れる風兎にぴったりな職業。
 ……あと、自然系の『プログレス』なんかにも知られているらしいぞ(タクマ談)。

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