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DIY、冒険を求める(続)
就職問題 中篇
しおりを挟むアイスプルの問題、それは職業システムの恩恵が下級職までという制限があること。
現状でも誤魔化しに限界が生じており、より上を目指すことは困難になっている。
「『プログレス』で職業に強制的にでもいいから就かせる、という方法は無いか?」
《職業そのものに干渉することは難しいですね。職業自体ではなく、その職業に就く者を狙い、間接的にその職業の恩恵にあやかるという方法であればあるいは……》
「カルル方式か。模倣を完全にするなら、そちらもおまけで……って感じだよな」
憧憬の『プログレス』を宿す魔族の少女。
彼女の『プログレス』を使えば、少なくとも一定時間は対象の存在が就いている職業の能力を使える……が、恒常的には無理だ。
言わばそれは、アカウントの複製。
その存在の情報を写し取り、自らに差し替えることで成立している──擬似的なものであり、当人が望む職に就けるわけではない。
「…………そういえば、『騎士王』は俺に中級職の【聖騎士】の資格をくれたな。確認はしてみたけど、アイスプルでもそれについてはいちおう転職可能になっている」
俺の職業は【救星者】で固定だが、使えるかどうかや“職業系統樹”との差を調べるために触れたことはある。
結果、“職業系統樹”との差は無かった。
加えて、俺が触れた時に限り条件を満たしている(強制達成含む)職業もまた、転職可能になっていた──ということは、だ。
「反映自体はされるんだよな……せめて、俺の“職業系統樹”内の情報がアイスプルにも移せればよかったんだが」
《──》
「ん? どうした、『SEBAS』」
《──結論から申し上げますと、それは可能です。いくつかの前提を踏まえさえすれば、滞りなく》
俺の深くも考えていないアイデアをきちんと考えてくれたのだろう。
少し間を空けて、『SEBAS』はそう答える……だが一つ、気になることが。
「似たようなことは、前にも一回試したことがあるよな? ほら、カルルに俺を再演してもらってやったヤツ」
《あの実験は、結果的に旦那様の器を模してしまったために意味を成しませんでした。職業を替えることで、旦那様の正規の情報との齟齬が生じ、不正アクセスとして識別されてしまうからです》
「でも、今回の場合は違うと? えっと、要は就ける職業の情報を“職業系統樹”のモノに差し替えるってことでいいか?」
《はい、そういった認識で正しいです》
俺が開ける“職業系統樹”において、もっとも特別なのは上級までの生産特化職業の全開放。
魔物たちはともかく、人形たちをそれらの職業に就けさせたらできることもいろいろと増える──よし、やってみますか。
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