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DIY、冒険を求める(続)
就職問題 前篇
しおりを挟む人形たちに命を吹き込んでくれた恩人、もとい恩人形のことについて話し合った。
現状、あの子にのみ発現しているものなので、厳重な保護が必要である。
だから、というわけではないがその主である『機械皇』との交流は続いていた。
スキル、そしてレベルなどの恩恵を機械や人形に持たせる計画を共に立てている。
「まあ、そこでも『ハートギア』が大活躍したんだけど。命を宿し、『プログレス』が着装できるようにする。だからこそ、組み込んでおいた[ステータス]システムの恩恵に人形たちもあやかっている」
《命──つまり意志を宿すことで、これまでも使い手によって与えられていた経験値を正しく認識し、取り込むことができるようになるからでしょう。本来、付喪神と呼ばれる現象には長い時間が掛かりますが──》
「蓄える期間が長いのは、曖昧な意思でそれが行われるから。先んじて意志さえ付与されていれば、普通の生物と同様にレベルを上げたり職業に就けるようになるわけだ…………やっぱりとんでもない能力だな」
あの子が存在するだけで、これまでは価値無しと思われていた機械仕掛けの人形たちが強さを手に入れる。
レベルは上がり、スキルを操り、職業に就き、『プログレス』だって使う。
おまけに機械なのだ、人族以上に正確無比な使用が可能だろう。
世が世なら、完全にディストピアの始まりじゃないか。
まあ、あの子はそういうことをやりそうではないけど……『機械皇』の指示無しなら。
◆ □ ◆ □ ◆
アイスプル 迷宮『進魔の修練場』派生『生者の遊歩道』
人形たちの修繕を終え、耐久度が回復したことを確認してからレベリングを再開。
糸の射程が伸びたので、より遠い場所から安全にレベリングが行えるようになる。
「現状だと、住民たちは下級職までにしか就くことができないからな……どうにかして、それ以上も就けるようにしてやらんと」
中級職以上は、職業に就くための条件が必ず設けられており、その他いくつか存在するチェック項目の中で引っかかる。
現状、『プログレス』を経由することでどうにか誤魔化しているのだ。
そこに『機械皇』の偽装の模倣、あとはアイスプルの許可でごり押ししている。
それでも中級職以上はできていないし、グレーな方法のままだと厳しいかもしれない。
思いつく方法はいくつかあるが、恒常的かと問われると違うモノばかりだ。
「いっそ、星敵を討伐して願い事を叶えてもらう方が楽な気がする……」
運がいいか悪いかはともかく、星敵と遭遇する確率はあまり高くない。
仮に会えたとしても、常人なら何をするでもなく殺されるだけ。
だがそれでも、星敵を討伐できた暁には星に願いを叶えてもらえる。
そこで職業システム云々について、直接交渉できれば…………いや、問題が多いな。
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