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DIY、冒険を求める(続)
人形レベリング 後篇
しおりを挟む人形と糸を繋いでレベリング。
職業システムの恩恵を与えていたら、なんとそちらの経験値まで貰えるという裏技染みたことを知りつつ──二十体の同時操作中。
結果、人形たちが就いている職業と種族の経験値が手に入る。
……人形たちが得る経験値でも、普人族の経験値になるんだよな。
《職業経験値は適した条件でのみ獲得可能ですが、種族経験値は魔物やアンデッドでも得られるモノです。つまり、共通の存在が等しく同じ経験値となっております》
「……その辺も、いろいろと謎が多いよな。いろんな世界で同じシステムが使われていることとか、他にも。ゲームだから、その一言で纏めることもできなくはないが…………無理だよなー」
迷宮が生み出した魔物を人形たちが殺し、流出した魂魄の残滓が人形と繋がった糸を通じて俺の下へ──アバターの器がそれを受け取り、さらにアイテムの中へ溜め込む。
今の俺のレベルは999、ありとあらゆる生物の中でもっとも経験値を溜めた存在。
それは俺の才能というか、アバターだからできたこと。
運営が用意した器、元より万能を前提として作り上げられているからこそ、到達した極致──だが人の身で、人族として居られるのはここが限界らしい。
種族経験値、それは生物として与えられた器に溜め込まれる魂魄リソース。
職業経験値と違い、システム的な制限が設けられていない器なのだ。
「死んだらその魂はどうなるのか、なんて死生観染みた考えになりそうだけど……まあ、深く考える必要は無いか」
それが世界の理だとすれば、部分的にだろうが同じ理が機能しているからこそ……なんて素人の考えが浮かぶ。
というか、プレイヤーがそこまで考えなければならないことでもないだろう。
まったく別の、それこそレベルやステータスが無い世界でもあったら考えようか。
閑話休題
ともあれ、人形たちが経験値を稼ぎ続けることで俺は楽にレベルアップを繰り返す。
本来ならば、糸の接続関係で精神的かつ気力的に消耗するが……俺は例外。
本来、糸の操作に必要な事項の大半を、自動的に『SEBAS』が行ってくれている。
常時消耗する魔力なども、ポーションを散布して補っていた。
中毒にならない高性能なポーション、そして伝導率の高い糸を作る生産技術。
……何より、職業に就ける人形を準備するためのコネがあるのが一番だな。
「──っと、ようやくだな。それじゃあ、強化は後回しにして常駐化を頼む」
《畏まりました──“職業強化”を発動。指定職業【人形師】、【傀儡師】、【中位人形師】、【中位傀儡師】の各職業スキルを常駐化します》
レベリングを繰り返し続けること数十分、大した苦労もせず職業のスキルを解放。
だが、まだ能力の効果自体はまだ強化し終わっていない……もう少し続くのじゃよ。
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