虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
上 下
2,390 / 2,813
DIY、冒険を求める(続)

人形レベリング 前篇

しおりを挟む


 アイスプル 迷宮『進魔の修練場』派生『生者の遊歩道』

 一度は、そして何度もやっておきたい転生システム。
 だがそれには膨大な量の種族経験値が必要だと、改めて知った。

「だからこそ、レベル上げをしないとな──それじゃあ皆さん、お願いします!」

 俺が求めるのはあくまで経験値のみ、自分一人でやる必要も無い……矜持も無いしな。
 人形たちと魔力の糸を繋ぎ、ひたすら経験値効率の高い魔物を倒し続ける。

 就いている【人形師】や【傀儡師】の職業効果もあり、人形たちが活躍した経験の一部が通常よりも多めに反映される──糸の数は十本、十体の経験値を奪っているわけだな。

「しかしまあ、種族の経験値は微々たるものだな……でも、職業の方はがっぽりだ」

 人形たちを使っている関係で、得られる経験値を十全に受け取ることはできない。
 うちの人形は特別性なので、彼らが各々で経験値を得ている。

 だがそれでも、その分掛かる手間を惜しんででも得られるメリット。
 それが職業経験値──星の民が職業に付けるようになってから、分かったことがある。

《人形たちが職業に就いている場合、旦那様は彼らが就いている職業に適した経験値も同時に獲得できる。これは大発見です》

「普通は人形が職業に就いていること自体珍しいし、【人形師】系統に就いている奴が人形も【人形師】系統の職業に就けるのもあまり意味が無い……複合系の職業なら、もしかしたら可能かもしれないが」

《前提である人形の就職、これを満たしたうえで更に【人形師】系統の職業を鍛えている者はあまり居ないでしょう。あらゆる職業を内包する【救星者】だからできたことです》

 いちおう神代の記録だと、ありとあらゆる職に通ずる職業は在ったということだが。
 しかも【救星者】とは別、なので俺以外でも同じことが絶対にできないわけではない。

 だが今は、そんな方法も利用する。
 職業経験値は稼げば稼ぐほど、【救星者】の能力“職業強化”の糧となり、更なる力を俺にもたらす。

 今はいちいち付け替えなければ使えない職業の能力も、いづれは切り替え無しで自在に使えるようになる──差し当たっては、今付けている【人形師】系統は必須だな。

「『プログレス:ブレスレッド』」

 インストールした『プログレス』は、肺と置換され俺の呼吸量を高める。
 同時にそれは大気の、身力を取り込む量を増やし回復量をも上げていく。

 それを受けて、人形への供給量を──増やさず、代わりに糸の数を増やす。
 繋ぐ先は既存の人形ではなく、新たにこの場に展開した十体の人形たち。

「『SEBAS』、制御を頼む」

《畏まりました──『セバスチャン』を起動します》

 さすがに今まで通りの制御はできなくなるので、その辺は『SEBAS』にお任せ。
 俺はこれまでと変わらず、ただ人形たちの無双劇を見てるだけで経験値を稼げるのだ。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

「おまえを愛することはない!」と言ってやったのに、なぜ無視するんだ!

七辻ゆゆ
ファンタジー
俺を見ない、俺の言葉を聞かない、そして触れられない。すり抜ける……なぜだ? 俺はいったい、どうなっているんだ。 真実の愛を取り戻したいだけなのに。

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」  リーリエは喜んだ。 「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」  もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

【完結】会いたいあなたはどこにもいない

野村にれ
恋愛
私の家族は反乱で殺され、私も処刑された。 そして私は家族の罪を暴いた貴族の娘として再び生まれた。 これは足りない罪を償えという意味なのか。 私の会いたいあなたはもうどこにもいないのに。 それでも償いのために生きている。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

処理中です...