虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、冒険を求める(続)

転生システム 前篇

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 かつての海を取り戻すため、『真海の主』の権能を再現した。
 莫大な量の魔力を一気に消耗したが、それでもすべてを回帰させることに成功する。

「……そういえば、創作物とかだと魔力の消耗と回復を繰り返すことで増える、みたいなテクニックがあるよな。それって、EHOの場合できるのか?」

《理屈で言えば可能です、しかし旦那様にはもうできないものかと──それらの行いは、種族値のレベルアップ時に反映される、とお伝えすればよろしいでしょうか?》

「あー、やっても無駄なのね俺の場合。一度リセットするのもいいかもな……」

 レベルアップ、器としての体の機能が一定の水準に達したとき、それまでの行動経験を基に方向性が決まり強化される。

 魔力を伸ばしていれば魔力が、走力を伸ばしていれば敏捷力が。
 ──そのうえで、種族という補正を受け強化される能力値が決まるのだ。

 ちなみに俺の種族である普人は、補正に関しては何にも存在しない。
 だがその分、伸ばせば伸ばすほど自分が目指す方向に成長できるという利点もある。

 ……それでも俺のレベルは999、これ以上の器的な成長は見込めない。
 だがそれをどうにかする方法、原人でも休人でもできるやり方──それが転生だ。

 創作物のように、死んで別の体に……ということではない。
 それでもレベルが1に戻る有り様は、ある意味で転生と言えるからだ。

 レベルが下がればまた上がり、身・能力値は向上する。
 おまけに元の分には転生したときのレベルより早く到達するので、確実に伸びるのだ。

「ただまあ、俺の場合あんまりメリットが無いからな……どれくらい溜まってる?」

《現状ですと、200ほどかと》

「先はまだまだ遠そうだな……」

 何の話かというと、レベルカンスト後から蓄えている種族経験値のこと。
 普段から別の用途で使用しているのだが、それでも一部はひたすら蓄えている。

 転生後、それらを一気に解放すればその分レベルは上がるのだが……まだ遠い。
 当然、転生後は必要経験値が増えるので、あえてそのままレベル最大の状態で居た。

「“精辰星意”が特にな……アレがせめて転生前のレベルを加味した能力だったら、別に良かったんだけど」

《その場合、何度もリセットを行っている者との差が縮まってしまいます。ですが、旦那様のレベルが転生を含め、相応に高くなれば変化があるかもしれません》

「……まあ、職業能力の強化って前例があるからな。その辺も期待しておくか」

 転生はまさにエンドコンテンツ、やればやるほど強くなれる。
 だからこそ、確実に休人の中に行う者が現れるだろう……警戒しないとな。

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