虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、冒険を求める(続)

回帰する海

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 海の層がめちゃくちゃになり、深海生物たちが陸に打ち上げられた様子を確認。
 すぐに問題に対処すべく、必要事項を纏めて実行することに。

「……深海生物がこうなってるんだから、本来浅瀬に居た生物なんかは深海でぺちゃんこになってそうだな」

《ドローンがそれらしき肉塊を無数に確認しております。魔物化していた個体はある程度原型を留めておりますが、そうではない生物では耐えられません》

「だよな……仕方がないにせよ、被害は甚大そうだな」

 海の中には体内に魔核を保有していない弱い魔物や、そもそも魔力がほどんどない野生生物なども居た。

 だが彼らが生息しているのは、海の中でも極めて浅い場所に限られる。
 それ以外の場所には魔物が居て、彼らでは太刀打ちできないからな。

 故意ではないにせよ、やってしまったことに対する責任もあるからこそ、風兎もそれをやった魔物をお説教しているわけだ。

「──『サブマリン』」

 インストールした、その魔物が発現させた『プログレス』を起動。
 それと同時に入ってくる使い方などの情報から、すぐに何とかなるかを確認する。

「うーん、これは……無理じゃないか?」

 単に層がばらばらに組み替えられただけではなく、どうやら海流なんかもぐちゃぐちゃな混線模様なようで。

 それらを一つ一つ解き、元に戻していくには俺のスペックではまだ足りなかった。
 補助を『SEBAS』がやってくれていても、相当時間が掛かりそうだ。

「となると、別のプランか? うーん、何かあるか?」

《それでしたらいくつか──》

 俺は思いつかなかったが、『SEBAS』が代わりにポンポンアイデアを出す。
 その中から、もっとも速くどうにかできそうなプランを採用することに。

「『魔王の取腕』、指定──『真海の主』」

 魔導世界の逸脱者、海の支配者の権能を一時的にこの身に宿す。
 そのうえで、掌を海の中に突っ込んである術式を発動する。

「──“真海支配”」

 ゴリゴリと減っていく魔力、それを補うように供給されるポーション。
 ……ドローンから管が射出され、体に突き刺さっている。

 見てくれはともかく、邪魔さえなければ無限に魔力を使うことができる状態だ。
 操作を『SEBAS』に委ねたうえで、最後の仕上げに権能を行使。

「──『回帰の海』」

 かつてそれは、同格の存在を強制転移させるために用いられた権能だ。
 だがそれは本来の使い方ではなく、正しい使い道が存在する。 

「回帰、つまり元に戻す──まあこんなところかな?」

《現在、調査中です。旦那様はすぐに体を休めてください》

 魔力を瞬間的に使い切った関係で、少々体がふらつく。
 指示に従い座り込み、ドローンによる調査の結果を待つことにした。

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