虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、冒険を求める(続)

脱獄後検証 中篇

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 アイスプル 闘技領域

 脱獄の過程、そして結果得たモノについての検証を行うことにした。
 星敵としての力、そして新たに就けるようになった職業や獲得した[称号]などだな。

「──まあ、『超越生者』の権能内容自体はすでに[ステータス]で把握しているし、試してみた分は間違いなかったようだ」

 何度も何度も、魔物たちの攻撃を浴びても俺の体は決して破壊されない。
 脱獄時は時々ピンチになっていたが、今回はこれまで通り死んでは蘇るを繰り返す。

「さて、ここからだな──権能開帳っと」

 死亡後、死に戻りエフェクトを何度も発していた俺だが、口に出して権能の起動を宣言した瞬間──光が固定化する。

 仄かな光が肉体を包み、魔物たちの攻撃を俺の代わりに受ける。
 透過しているわけではなく、いわゆる無敵化──当然、制限は存在した。

「死亡時に限定した無敵化、とテキストには書かれていたが……やっぱりこうなるか」

 正しくは死亡判定を受けている間、つまり俺で無くとも『死兵』や『死闘の越境者』などの[称号]や似た効果の職業があれば、条件は達成可能だ。

 ゲームで言うと、某配水管工のオジサンがダメージを受けた時の一時的な無敵化。
 レトロゲームのような理屈を超えた現象、それを『超越生者』は可能とする。

 あらゆる攻撃、そして干渉によって生じるダメージが今の俺には発生していない。
 死んでいる時しか使えない無敵化、便利ではあるが……普通は扱いづらい代物だ。

「そもそも、死んでいる状態から復帰するためには蘇生魔法か蘇生薬級の回復手段が必要になるんだよな。そういうのは基本レアだから数に制限があったり、クールタイムがとんでもなく長い仕様だよなー」

 俺が湯水のように生み出して使っている蘇生薬も、世間一般からすれば王侯貴族が一本持っていれば奇跡というレベルの貴重品。

 また、通常の蘇生薬は日に何度も使えるようなものではない。
 つまり、無敵化したとしても結局最終的には本当に死んでしまう……そんな権能だ。

 ただしそれを、死んでも蘇る休人が使うからこそ意味がある。
 俺の体は死んでもすぐに復旧し、また死んですぐに無敵化する……わけではない。 

 それならば、休人であれば誰でもその理屈が当て嵌まってしまう。
 俺だけが持つ特別なアイテム──『星命の鼓動』こそ、この常時無敵化の鍵だ。

「死なない限り壊れない、そして持ち主が死亡しても脈打つ限りの生を──死にながらの生をもたらすこの心臓があれば、半永久的に死亡状態を維持して活動できるわけだ」

 俺の『超越生者』としての権能を、融合させた星具『星命の鼓動』。
 それは生産部門の武闘大会で勝つために製作したものだが、他のことも考えた。

 結果、当時の目的である不壊の性質だけでなくそんな能力も与えている。
 耐久度を消耗することで、持ち主が死のうとも命を繋ぐことが可能だ。

 他の者が使っていても、蘇生可能時間の延長という形で使えていただろう。
 だがそれを俺が使うことにより──事実上の無敵と化すわけだ。

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