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DIY、冒険を求める(続)
脱獄後検証 前篇
しおりを挟むアイスプル
脱獄を終え、ワールドクエストの進展もある程度確認できた。
一気に快進撃のまま終わるかと思ったのだが、さすがにそれは無かったようで。
「まさかガチで時間経過が必要になるクエストが出てくるとは……まあ、やり方次第でどうとでもなるけど」
アイテムの出現時期やら人探しなど、確実なのは時間を掛けること……みたいな感じの依頼内容が最近のワールドクエストだ。
そのため、休人たちの進行速度もだんだん遅くなっており、一度に滅亡世界を訪れる休人の数も減っているとのこと。
まあ、それでもチュートリアルをクリアしたぐらいの休人──下級職カンスト前提──にとっては、今も受けられるフリークエストの実入りがいいらしく、ゼロにはならない。
「あと、監獄があるもんな。まさか、強引に暴かれるとは思っても無かったけど」
どうやら『プログレス』で力を合わせ、見えないはずの扉を見つけ出したんだとか。
発見直後、すぐにクエストが増えたことで監獄であることが判明、さらに盛り上がる。
外部の[掲示板]と迷宮名が同じなことも分かり、星敵などの情報も開示された。
星敵を倒せば報酬が手に入る、また迷宮攻略もすればするほど貴重な物が獲得可能だ。
……問題は休人たちがどれだけ頑張って探索しても、まだ一階層にも居ないこと。
つまりは入り口、俺が『騎士王』と戦ったあの空間で立ち往生している点である。
「上から下に行こうとしたとき、看守みたいな資格を持たない連中だけで入ると警備兵が動くのか……で、それがかなり強いと」
おまけに監獄だと能力値などに制限が掛かり、すぐに倒されてしまうらしい。
俺はどうせ貧弱だったので、その辺は全然関係無かったのだが。
いちおう言っておくと、星敵についても実はそこまでその制限は通じない。
どちらかと言えば、それは死んでも死なない休人連中のための仕掛けなんだよな。
「さて、『SEBAS』。俺は星々が築き上げた監獄を脱獄したわけだが……何か進展はあったか?」
《はい。新たな[称号]の獲得、職業就職条件の達成、一部最上位職の条件を部分的に達成するなどいくつかございますが……一番はやはり、旦那様の星敵化でしょうか》
「だろうな。結局、やっちまえば全部の懸念事項はどうでもよくなるな。向こうだとできなかった細かい検証、それに他のお土産の実験なんかも早くやってみたい」
星敵になり、その証は心臓に宿った。
これまで『生者』が使っていた権能枠は空いており、その気になれば『プログレス』を移植することもできなくはない。
だがそれをやらないからこそ、得られるモノの方が多かった。
脱獄してから今まで、ちょっと忙しくできなかったこと……それを試していこう。
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