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DIY、監獄ライフに勤しむ

アンヤク(11)

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「そろそろボロを出す頃だと思ったが、粘るな……『生者』、【救星者】、[巧天]。名称自体は出しているが、本質的な点はまだまだ謎が多いか」

 手の者たちからの情報を受け、一人椅子に深く腰掛け息を吐く男。
 名はジンリ、かつてツクルやルリ、タクマたちとオンラインゲームを行っていた男だ。

 突然広まった新たなワールドクエスト。
 発信源は滅亡世界、同時に渡航が可能となり休人たちは集まった──ジンリもまた、そこに手の者を差し向けていた。

 最も信用する情報屋タクマは雇えなかったが、それでも優秀な者たちを送る。
 結果、自らが追い求める休人ツクルの情報を──得ることはできなかった。

「分からないからこそ、分かることもある。少なくとも、タクマには劣るがそれなりにデキる人材だ。それでもここまで情報が無いとなると、徹底して隠し通すつもりがある者に限られるからな」

 だからこそ、ジンリはワールドクエストから成る一連の動きにツクルが関わっていると確信している。

 また、同時にそこをどれだけ探ろうと決してツクルには届かないことを承知していた。
 未確定だが確定事項、そう頭に入れて別の資料に手を伸ばす。

「……アズル教団と失名神話、か。どちらも手は出せんな。片や代表が広めていると思わしき神話、そしてもう片方は現人神が睨みを利かせている。手段は不明だが、上手くいったことはないからな」

 ツクルは失名神話は布教しているが、ルリは自ら布教してはいない。
 にも拘らず、休人たちがアズル教団とその神であるルリを崇める理由。

 ──それは単純に、運が良くなるから。

 効果は多岐に渡り、戦闘だけでなく生産や会話ですら運によって良くなることも。
 祈るだけでいい、簡易なものであればその手軽さから休人たちからも人気だった。

 当然、神話に拘りを持っていないからこそ起きる問題も過去には発生している。
 だがそのすべてを、ルリは自らの運と信者たちの力で解決していた。

「代表の方は……よく分からんがな。滅亡世界の神殿には失名神話の情報があると。上手くやったようだが、これも仕込みか」

 誘導するようにツクルが設けた神殿も、すぐに看破するジンリ。
 だがツクルもそれは考慮している、バレて困る情報は置かれていない。

「やはり、タクマから繋がりを辿るのが安牌ではあるのか……ままならぬものだな」

 現実で会う、という選択肢は無い。
 仕事に関してはいくらでも都合をつけることができるだろう……しかし、ツクルはルリと必ず行動を共にする、これが問題だ。

「一先ずは代表の誘導に乗って、ワールドクエストを進めていくとしよう。まだ誰も終わらせたことの無いストーリー、そこに繋がるかもしれんからな」

 ジンリもまた、ゲーマー。
 より面白いイベントを求め、手の者たちへ指示を下していくのだった。

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