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DIY、監獄ライフに勤しむ
脱獄完了 その04
しおりを挟む核爆弾を装着した槍を無数に受け、被爆した『騎士王』。
高い身体スペックがその排除に動いているが、それでも一時的に弱体化している。
「『星域』展開──“精辰星意”」
「くっ……」
「おや、今回は上手くいきましたね。阻止ができない理由がおありのようで」
周辺をアイスプルの領土として上書きし、内部でのみ発動できるデバフを発動。
俺と『騎士王』のレベル差により、少しずつ能力値の減衰が行われていく。
どうやら被爆の影響で、そちらにまで手が回らない様子。
おまけに発動を許したことで、低下した能力値での被爆への抵抗力も減衰してしまう。
「……かはっ」
「申し訳ございません。ですが、真っ当な手段で貴方様に勝てるとは思っておりませんので──『神狼捕鎖』、『神狼縛鎖』」
「うぐっ」
「──そして、“神持祈祷:バインドバインダー”。お疲れさまでした」
ようやくそこまで追い詰めたことで、トドメを刺すことができる。
国宝を複製した二種類の鎖、そして捕縛した相手を仕舞う『プログレス』を使用。
聖具のスペックの高さに加え、『プログレス』が鎖の効果を強化してくれる。
平時ならまだしも、被爆&能力値低下中ならば──封印できた。
「まあ、すぐに出てくるでしょうね──なのですぐに逃げます!」
一時封印と完全封印が選べ、後者はまったく選択できなかったことから、まだ抵抗は続いていると判断。
その場合、『プログレス』は解除できないしそもそも借りているものなので、解除すると完全封印だろうと元に戻ってしまう。
一先ずは顕現したバインダーを床へ。
ついでに『墜落死のミニスコップ』をすぐ近くに突き刺し、穴の中へ落としておく……念のため、三個ぐらい使っての深掘りだ。
あとはエクリのスペックを用いて、この空間の出口へと急ぐ。
場所の把握はすでに済ませてある、出口もきちんと存在していた。
「──ここ、ですね」
仰々しく重々しい門扉が一つ。
先に『騎士王』が言っていた通り、彼女が担当していたからこそその場所を守る存在は居なかった。
「強引に開けましょう──“万物闇換”」
ありとあらゆるモノを闇に置換できる能力によって、扉も闇に変換していく。
じわじわと掌を当てた場所から、黒く染まり──やがて、先の景色が見えるように。
「……まあ、出口ですね」
普通の脱獄者なら、外の光で喜んだりするかもしれないが、街は擬似的な太陽やら空があったのでそこまで感じるものはない。
迷宮だって、途中で巨大な大樹とかを見たからな……何より、[ログアウト]すればいつでもどんなものでも確認できたし。
そんな感想を呟きつつも、俺の体はこの場から離れるために前へ動いている。
地続きで良かった、空間が離れていたら最悪すぐに解放されていたからな!
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