2,365 / 2,733
DIY、監獄ライフに勤しむ
脱獄完了 その03
しおりを挟む太陽級の爆弾も、核レベルの爆発も、対処してみせた『騎士王』。
だがあちらも無傷とはいかない、魔術で元に戻しても魔力は確実に減っていく。
「有用なのは理解しました。では、重ねていきます──『核爆槍』」
「愚かな……」
一つひとつ手に取り、何度も何度も空に向かって投げていく。
わざわざ一気に落とさず手作業なのは、それだと『騎士王』に干渉されるから。
投げる際に結界で槍を包むことで、魔力的な干渉を可能な限り阻止できるようにした。
なお、結界の方で膂力はどうとでもなるので、二刀流ならぬ二槍流での同時投擲だ。
場所もズラしており、完全な対処ができないタイミングを『SEBAS』が演算して割り出している。
「ッ、厄介なことをするな……!? これ、は……」
「ふふっ、さて何でしょうか?」
槍に対処していた『騎士王』だったが、突然咳──それも喀血をし、苦渋を浮かべる。
耐性を無数に持つはずの彼女だからこそ、何が起きたのかと疑念を抱く。
「──回帰は効く……が、すぐに戻る。つまり原因は辺りに残り続けている──この槍が原因だな」
「ええ、その通りです。しかし、除去は極めて困難ですよ? 少なくとも、この状況では特にね!」
槍を投げ続けることを止めないので、槍から散布される放射線は無限に増え続ける。
名称から分かる通り『核爆槍』、核エネルギーが爆発する槍は厄災そのものだ。
俺も同じ状態で、息をするだけで何度も死ぬような状態だ。
──槍に仕込んだ『死天』のアイテム、それもあって耐性を貫通して効果を発揮する。
少しだけフラフラしだした『騎士王』を見て、作戦は有効だったことを確認。
演技の可能性もあるので、それでも容赦はせず槍を投げ続けた。
「それそのものを防ぐのはできない。ならば我自身を、この毒そのものから逃れるようにすれば──これで良いか」
「さすがは『騎士王』様、理屈は分からずとも防ぎますか……ええ、肉体の反応を抑えられれば時間は稼げますね」
「これが『生者』の世界の毒か……まだ、耐性は適合せぬな」
「不可能ではありませんが、極めて難しいでしょうね。それにしても、こうもあっさり対処されるのは辛いです。槍の爆発、こちらもそれなりに危ういものなのですがね」
槍に込められた放射能、それは科学毒として状態異常扱いになる。
毒耐性があればほんの少しだけ抑えられるが、今回のソレは強化版だ。
さすがの『騎士王』も耐性獲得に時間を掛けているようだ……それでもだんだんと体を慣らし、槍そのものへの対処も上手くなっているのが本当に怖いところである。
0
お気に入りに追加
643
あなたにおすすめの小説
「お姉様の赤ちゃん、私にちょうだい?」
サイコちゃん
恋愛
実家に妊娠を知らせた途端、妹からお腹の子をくれと言われた。姉であるイヴェットは自分の持ち物や恋人をいつも妹に奪われてきた。しかし赤ん坊をくれというのはあまりに酷過ぎる。そのことを夫に相談すると、彼は「良かったね! 家族ぐるみで育ててもらえるんだね!」と言い放った。妹と両親が異常であることを伝えても、夫は理解を示してくれない。やがて夫婦は離婚してイヴェットはひとり苦境へ立ち向かうことになったが、“医術と魔術の天才”である治療人アランが彼女に味方して――
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
何でも奪っていく妹が森まで押しかけてきた ~今更私の言ったことを理解しても、もう遅い~
秋鷺 照
ファンタジー
「お姉さま、それちょうだい!」
妹のアリアにそう言われ奪われ続け、果ては婚約者まで奪われたロメリアは、首でも吊ろうかと思いながら森の奥深くへ歩いて行く。そうしてたどり着いてしまった森の深層には屋敷があった。
ロメリアは屋敷の主に見初められ、捕らえられてしまう。
どうやって逃げ出そう……悩んでいるところに、妹が押しかけてきた。
『王家の面汚し』と呼ばれ帝国へ売られた王女ですが、普通に歓迎されました……
Ryo-k
ファンタジー
王宮で開かれた側妃主催のパーティーで婚約破棄を告げられたのは、アシュリー・クローネ第一王女。
優秀と言われているラビニア・クローネ第二王女と常に比較され続け、彼女は貴族たちからは『王家の面汚し』と呼ばれ疎まれていた。
そんな彼女は、帝国との交易の条件として、帝国に送られることになる。
しかしこの時は誰も予想していなかった。
この出来事が、王国の滅亡へのカウントダウンの始まりであることを……
アシュリーが帝国で、秘められていた才能を開花するのを……
※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる