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DIY、監獄ライフに勤しむ

脱獄完了 その02

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 星鑓を構えた『騎士王』は、武技名を告げて宙に向けて鑓を穿った。
 そこにあるのは『恒星能爆弾』、太陽の如きエネルギーを秘めた爆弾が炸裂する。

「くっ……」

 衝撃波が飛んでくる一瞬前、『騎士王』が魔術で身を固めているのは確認した。
 対する俺は何もせず、ただ身を委ねて自ら死を招く──痛みは一瞬、何も感じない。

 痛覚機能は正常に働いている、だがそれ以上に起きている事象が異常なのだ。
 肉体を磨り潰し、焼き焦がし、塵すら残さぬレベルで発火する。

 爆弾が宙で炸裂してこのレベル、地表に落ちていれば結果も変わっていただろう。
 しばらくして、感覚が戻った俺が辺りを見渡せば──

「……おや、さすがの『騎士王』様でも限界はあるのですね。ええ、これは本当に驚きました」

「…………我は、人であるからな。無傷の貴公とは違うのだ」

「と言いつつ、回復の術式ですぐに治している貴方様も、大抵一般人とは程遠いとは思いますがね」

 さすがに太陽級のエネルギーの爆弾は堪えたのか、ダメージを負っていた『騎士王』。
 焼き爛れた右腕と両足、輝きを失った装備品などこれまでと違う点が見られる。

 だがそれも、残された左腕で文字を描くと変化が起きた。
 時を巻き戻すように腕と足が治り、それまで通りの白い肌となる。

 鎧などの装備はそのままだが、それでも充分だろう。
 彼女から感じ取れる魔力の総量は、明らかに減っていた……それが限界なのだ。

「時を戻す術式、さすがに『騎士王』と言えども負担が掛かるもののようですね。まあ、物凄い勢いで回復しているのもまた、恐ろしいところではありますが」

「時間は我の武器だ……危険性も理解した、早々に蹴りを付けねばなるまいな」

「いえいえ、もっと楽しみましょう。せっかく封印を解いたのです、やれることはどこまでもね──『核爆槍』!」

 俺の手にすっぽり収まる形で、空間を割いて槍が現れる。
 重力操作が組み込まれた軽い槍を、俺は槍投げの要領で空に向かって投げた。

 先ほど同様に術式を編む『騎士王』、今回はしっかりと捉えたソレは俺がかつて貰った術式『完星璧盾』に似た球体状の結界。

 肉体操作によって完璧な形で『騎士王』の頭上へ落ちた槍は、結界にぶつかり──再び炸裂、先ほどと違うのは槍の先端に莫大なエネルギーが収束していること。

「ッ……!」

「おっと、これはいけない」

 結界に罅が入り、熱はたしかに『騎士王』にダメージを与えているはず。
 だがそれでも、巧みに結界を操作して槍の爆発が俺にも及ぶようにした。

 俺に通じずとも、足止めできるし自分が負う負担が減る。
 一挙両得、二兎をも得ずとならない、さすがは『騎士王』だな。

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