虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、監獄ライフに勤しむ

脱獄完了 その01

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 世界を滅ぼすつもりで来い、そんな挑発を『騎士王』から受けた俺。
 ならば、と俺が準備するのは──文字通りそれが可能な兵器。

「『SEBAS』、取出制限解除。コード入力──『世界平和』」

《──音声識別完了。収納時空解放、取り出し可能となります》

 酔った勢いで使ったり、誰かに盗まれたりしないようにそれらは封印を行っている。
 解除を宣誓したうえで、キーワードを言わなければそれらは絶対に取り出せない。

 また、時間と空間が凍結された場所に封じてあるため、通常の移動での奪取も無理。
 わざわざそこまでするのは、何度も言っている通り危険過ぎるから。

「手始めに──『恒星能爆弾』」

「ッ!?」

 手に収まる代物でもないので、出現場所は空間操作の魔道具によって空中から。
 降りてくる巨大な球体、それは太陽のような輝きを内包するナニカ。

 創作物でもよく考えられる、無限のエネルギーを得るための装置──永久機関。
 それを試す過程で造り上げられ、失敗し、これはこれでと改良ならぬ改悪された代物。

 生産技術の極致によって現実の核技術を再現、技術的な問題点のすべてを魔力云々で強引に仕上げた逸品──ゆえに永久機関足り得ず、エネルギーは増幅してやがて自壊する。

「……これ一つで、貴公を星敵として正式に定められるだろうな」

「止められませんので、どうか『騎士王』様の御業でどうにかしてください」

「ふっ、身勝手なものだ──『星鑓解放』」

 星剣は使わない、そう言った彼女が握り締めるのは俺が造り上げ提供した鑓。
 普通の槍と違い、彼女用のソレは馬上槍で用いるような長い物だ。

 ただし、『騎士王』の宣言によってその形は変化する。
 鋭く尖っていた先端は、周囲に生まれた光が渦巻き螺旋槍──つまりドリルを模した。

 まあ、この辺は俺の趣味と創作物を参考にアレやコレやと組み込んだ結果である。
 ……問題は、どうしてそれを今使えているのかという点だが。

「申請は面倒なのでは?」

「何事にも例外はある。星を揺るがす厄災に対し、その例外は適応されるものだ」

「……なるほど」

 爆弾はゆっくりと落下している。
 物理法則を超越した代物のため、重さに釣り合わない速度で。

 会話を挟む余裕はある、がそれもほんの僅かな時間。
 だがそうしていても問題はない、鑓を振るう『騎士王』にはその自信があるようだ。

「──“星鑓炸裂”」

 そうして上に構えた鑓を、ただ勢いよく突き出す『騎士王』。
 渦巻く光が空を穿ち、爆弾に命中──上空で轟音が鳴り響き、衝撃が俺たちを襲った。

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