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DIY、穴に潜る
ベビーダンジョン
しおりを挟む「……ここ、どこ?」
町から出て、前回同様『マーリン』の魔法陣によって移動を行う。
──のだが、景色が変わるとそこはただの草原で、周りには何も無かった。
《今までに把握した地形に、該当しておりません。恐らくここがダンジョンなのかと》
「いきなりダンジョンからスタートかよ。せめて入口に飛ばせよ」
《『騎士王』の説明通り、やはり異空間に存在するのでしょう。旦那様、ドローンをお願いします》
「あいよ、最初だから十機ぐらい出しておくことにしよう」
宣言通りの台数ドローンを飛ばし、一気にダンジョン内のマップを埋めていく。
「……結構広いな」
《ダンジョンの端の部分に角があります。わざとではないとすれば、仕様……恐らく立方体をいくつか重ねた物を組み合わせて造られているのでしょう》
「結局はゲームなんだよな。ポイントを使って地形を広げ、魔物を配置して防衛を行っていく……まあ、今は置いておくか。階段とか魔法陣とかはあるか?」
《ここから先、2時の方向にしばらく進むと下に向かう階段があります》
「ありがとう。それじゃあ──行くか!」
死亡レーダーに、どうしても対処しなければならない反応は無い。
それでも注意を払いつつ、ダンジョン内をゆっくりと歩き始めた。
◆ □ ◆ □ ◆
「これは……心にクるものがあるな」
クゥーンと目の前で子犬(?)が鳴く。
それにスタンガンを向け、苦悩する。
「なんで、魔物が全部可愛いいんだよ」
このダンジョンの魔物は、全てが名前の最初にベビーと付いていた。
その名に違わぬ姿を持った魔物は、どいつもこいつも甘えるようにすり寄って来る。
「……それで死ぬ俺も大概なんだが」
経験値を回収して、ベビー以上の魔物に進化するかもな。
何度か出会った子犬型の魔物を相手に苦悩しつつ、それでもと意志を強くスタンガンを振り下ろす。
『キャインッ!』
スタンガンの電圧を下げているので、子犬は昏倒して倒れただけだ。
……いや、こっちで殺しまくったら現実で子犬に顔向けできないだろ。
俺の通って来た道を振り返ると、死屍累々がごとく、愛らしい魔物たちが山のように積まれている。
これはこれで、一種のトラウマになりそうな光景だよな、
予め、精神安定剤を呑んでおいて正解だったかもしれない。
「『騎士王』め……こんなダンジョンだなんて聞いてなかったぞ」
このダンジョンには入場制限があり、ダンジョンを攻略できるような戦力ではここに来ることができない。
「というか、スキルレベルが一定数値以上の者は入場不可能って鬼畜すぎだろう──しかも、数値がたった10って……」
そう、普通のプレイヤーではほぼ不可能な条件であった。
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