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DIY、監獄ライフに勤しむ

脱獄遂行 その27

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 優位な立場は存在せず、圧倒的な力の前に屈してしまうような現状。
 少なくとも『騎士王』を倒さねば、前にも後ろにも行けなくなっている。

「……ッ!」

「効果切れか、ずいぶんと長かったな。破格の力と釣り合わぬほどに」

「それでも、及びませんでしたがね」

 更にタイミングの悪いことに、ここで起動していた『ファントム・オブ・ファン』の効果が終了──『騎士王』と【魔王】の再現は途切れ、元のエクリボディに換装された。

 なお、変身期間は明確な条件が存在し、その一つは対象を見続けること。
 本来の持ち主であるカルルはそれを理由として、【魔王】とよく連絡をしている。

 俺の場合は【魔王】に頼み、定点カメラを設置させてもらっていた。
 端にでも映れば条件達成なので、代わりにそれを『SEBAS』が視て済ませている。

 だが、一秒見れば一秒使えるというものでもないため、効果が途切れてしまった。
 クールタイムもあるので、しばらくは同じことができない。

「さて、万策尽きたか? であれば、終わらせることにするが」

「ずいぶんと余裕な態度ですね」

「態度だけではない。事実、余裕なのだ。慢心はしないし、『生者』の行動には常驚かされている。ゆえにすべてを吐き出させ、そのうえで捻じ伏せる必要があるのだ」

「……なるほど」

 心をぽっきり折ってから、それ以上は抵抗するなということらしい。
 実際、何もかもすべて無効化されても諦めない、というのは非常に困難だろう。

「──まだ戦うか」

「ええ、生憎諦めの悪さだけでここまで来たようなものですので」

 EHOでも、そしてオンゲーや現実でも。
 諦めずにしぶとく挑んできたからこそ、俺は望ましい結果を掴んできた。

 相手にも信念はある、がそれを押し通すための戦いである。
 ──手段を選んではいられない、ここからが俺の全力だ。

「──メカドラ!」

『ギャウ!』

「有りっ丈だ、全力で行くぞ!」

『ギャウウウウウウ!』

 口調を取り繕うのも止め、指示を告げる。
 装備として、鎧となったメカドラが俺に装着されたら行動開始。

 策も何も無い突貫、だがメカドラを付けたことで俺の身体能力は飛躍的に向上した。
 加えて、『SEBAS』がメカドラごと俺たちを遠隔操作して最適な動きを行わせる。

「……」

「まだだ、もっと速く!」

 武器も変更、星剣の一振り[虚膨]へ。
 大きさを自在に変えることで、リーチの長い鑓にも対応できるようにする。

 次いで『星剣解放』で二本に増やし、怒涛の攻撃を畳みかけていく。
 ──『騎士王』はただ、嘆息を零し一言。

「つまらん」

「……がはっ!」『ギャウ!』

 高速の動きは見破られ、俺に突き刺さった星の鑓。
 その穂先が刺し貫くのは──星敵の証である心臓だった。

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