虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

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DIY、監獄ライフに勤しむ

脱獄遂行 その06

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 邪悪深殿 八十層

 混沌勢の駒となった星敵が暴れ、文字通り混沌と化している八十層。
 だが突破は出来ない、まだ八十層の守護者がどこかに居るからだ。

「守護者はいったい、どこに居るのやら」

《守護者にはその補正が付いております。その特定が済めば、見つけられるかと》

「今は乱入に気づかれないよう、こっそりといかないと──」

『──『生者』が、『生者』が居るぞ!!』

「…………“孤絶ノ衣”」

 どこかの誰かが俺を感知したのか、あるいは別のナニカで気づいたのか。
 いづれにせよ、俺の存在が完璧に知覚される前に術式での隠蔽を図る。

 存在を遮断する術式が、俺の姿を希薄に。
 加えてアイテムや[称号]の効果を重ね、システム的にも物理的にも俺を見つけることができなくしていく。

(…………とりあえず、大丈夫かな?)

 混沌勢は禍々しい魔物たちも引き連れていて、俺を探すためにそのうち数体を使う。
 彼らの文字通り人外的感覚で見つけられるのが、最大の懸念だった。

《混沌の使者が生み出した魔物で、ある程度の解析は済んでいます。そちらから想定される方法は、すでに対策をしております》

 思念を読み取り、『SEBAS』が返事をしてくれる。
 こそこそと動く関係上、声を出すと危うい可能性があるからな。

 エクリのハイスペックな体で、擬似的に隠蔽しての隠形移動。
 守護者が逸脱した連中の誰かと想定し、誰なのかを探していく。

(…………アレ、かな?)

《おそらくは》

(というか、『覆魔殿』だろう。まさかここで出張ってくるとはな)

 魔導世界で相対した、術式を擬似的な生物とする権能を持つ『八大星魔』。
 ……おそらくながら、前回の失敗がここへの動員を強制したのだろう。

(こっそり暗殺、なんてのは無理だよな)

《影や周囲に、術式を配置しております。下手に動けば、こちらが危ういかと》

(そうなんだよな……とはいえ、ずっとここに居て状況が良くなるわけでもないと)

《混沌の勢力は有利と言えませんが、何かしらの目的はあるはずです。そちらが始まってから、という選択肢もございます》

 多勢に無勢、一騎当千な逸脱した連中が集まっているので状況は彼ら優勢だ。
 星敵たちもスペックは彼ら以上だが、その数の強さで押し込んでいる形である。

 だからこそ、『SEBAS』が考慮している混沌の連中が企んでいる何かしらの行動。
 それを俺たちも利用して、次の階層へ突破できないかと考えている。

(まあ、最悪倒せなくても排除すればいいわけだし……やってみますか)

 必要そうなアイテムを用意し、より戦場へと近づいていく──この体なら、あの時とは違った振る舞いもできるな。

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